【動画】福島第1原発を記者が歩いた たった1粒のデブリ採取が「こんなにも難しいとは」 被ばく線量も測ってみた:東京新聞デジタル




〈福島第一原発 事故収束作業は今〉
 東京新聞原発取材班は1月17日、東京電力福島第1原発の敷地内に入り、事故発生から14年となる現場の状況を取材した。現在も管理の難しい1、2号機のプールには約1000体の核燃料が貯蔵中だ。安定した地上施設への移送に向け、急ピッチで大型工事が進んでいた。昨年、2号機では初めて溶け落ちた核燃料(デブリ)の微量採取に成功。どう作業が進んだのか、同型の5号機で疑似的に観察してきた。(山川剛史)
 1、2号機の海側敷地でバスを降りると、全面マスクと防護服を着用した数多くの作業員が動いていた。その周りには建屋関連で使う巨大なクローラークレーンや、建屋の鉄骨を遠隔操縦で切断する大きな装置がいくつも置かれていた。
 1号機原子炉建屋には、太い鋼材で造られた構造物がおおむね組み上がり、元の建屋が見えなくなりつつあった。これが完成しても、核燃料を貯蔵するプール上には大型のがれきが残るなど、まだまだ気は抜けない。
 2号機では核燃料を取り出すクレーンが載るレールの設置作業まで進んでいた。こちらはあと1年ほどで取り出し作業が始められそうだ。
 一方、デブリについては、昨年、2号機で初めて1粒取り出すことに成功したが、「調査の延長線」のレベル。
 同型の5号機原子炉内に入って装置の軌跡をたどった。現場の苦労には頭が下がるばかりだが、「たった直径5メートルあまりの狭い空間から、たった1粒を採るのがこんなにも困難なのか」と痛感させられた。
 1〜3号機には計880トンのデブリがあるとされ、号機ごとに壊れ方が異なる。どう対応するのか、まだ道は見えていない。
 朝9時の福島県富岡町の集合から午後4時半の解散まで、1分ごとに被ばく線量を自動記録した。37.7マイクロシーベルト(μSv)で、東京などと比べるとざっと1カ月分の被ばく線量に相当する。グラフの通り、放射線量の高い場所で集中的に被ばくしたのがよく分かる。
 取材には荒井六貴、片山夏子の両記者も参加。原発を離れれば値は1日1μSv強まで下がる。
 しかし、日々、事故収束作業に当たる現場はそうはいかない。感謝を忘れてはならないと、あらためて念じた。