献本御礼

菅さんの新著である。民俗学の専門家であるはずである。
なぜ、食鳥なのか?後書きで分かりました。なのでネタバレになるのでここでは記しません。

それにしても、絶対に教科書で習わない食文化としての食鳥の歴史。
そこには、まさに権力支配の歴史が垣間見れるのです。
食文化は人間3大欲求の食欲という文脈でやはり歴史や民俗を考える上で特に
重要だと改めて認識した一冊となりました。

付箋紙だらけになってしまったので、備忘録としてメモしておきたいと思う。

明治39年に廃業した上野の雁鍋屋 夏目漱石のお気に入り
鴨南蛮の考案者は江戸馬喰町の蕎麦屋の笹屋とされている
生類憐みの令に屈しない鳥商売
将軍の鷹狩と食鳥の序列順位 鳥商売の管理 贈答として野鳥
明治以降の鷹狩 贈答から賓客接遇という近代的儀礼システムへ 太平洋戦争後に廃止
王権と密接に関わってきた野鳥の支配・統制から、野鳥保護へ(皇室)
野鳥資源の過剰利用 コモンズの悲劇 手賀沼の例
食鳥文化の衰退・消滅とウナギ、クジラとの共通性から考える視点





出版社のHPより目次
序章 鳥の味にとりつかれた美食家たち

第一章 鳥料理の源流――京料理から江戸の料理へ
1 日本人はいつから鳥を食べていたのか?
2 中世の鳥料理

第二章 江戸時代の鳥料理と庖丁人――鶴の味噌汁、白鳥のゆで鳥、鷺の串焼き
1 江戸の町から出てきた大量の鳥の骨
2 『料理物語』のレシピ
3 庖丁人――一流シェフの伝統と技術

第三章 大衆化する江戸の鳥料理――富商、貧乏武士、町人の味覚
1 鶏鍋、雁鍋、鴨鍋――中級・下級武士の食卓
2 料亭・名店の味――富裕層、文人墨客の贅沢
3 鴨南蛮と雀焼――庶民の素朴なファストフード

第四章 闇の鳥商売と取り締まり――せめぎあう幕府と密売人
1 「生類憐れみの令」による危機
2 アウトローたちの鳥商売の手口
3 鳥商売と大岡裁き

第五章 侠客の鳥商人 ――東国屋伊兵衛の武勇伝
1 日本橋・水鳥市場の男伊達
2 幕臣と侠客との親密な関係

第六章 将軍様の贈り物――王権の威光を支える鳥たち
1 鷹狩と贈答による秩序維持
2 「美物」の使い回し――中世の主従関係
3 「饗応料理」の鳥の意味

第七章 江戸に鳥を送る村――ある野鳥供給地の盛衰
1 手賀沼の水鳥猟
2 西洋的狩猟の浸食
3 カモが米に負けた

終章 野鳥の味を忘れた日本人

あとがき
鳥食の日本史略年表