同学年の樋口さんの山梨移住(山口ー東京ー北杜市(北巨摩)20年の経験から
導きだされた人生論でもある。

田舎暮らし失敗本もかなり出ていると思うし、罵詈雑言でツバしてその土地を離れる人もいる。

読み終えて感じたのは、やはり居り合い(折り合いではなく)を付けてその地に住むという事は
並大抵の事ではないということ。
もちろん、別荘地で都会と同じ暮らしをするのとは全く異なるのである。

山梨出身者としては(母親の実家が北杜市なので)地域性や他者に対する対応なども一定の
認識はもっていて、著者の指摘が正しいと思うし、逆に山梨出身者としても近所付き合いや
噂話、出る釘は打たれる的な事は日常茶飯事であったから。

樋口さんの著作は何作か読んでいたので、故田淵義雄さんの本がバイブル的な役割をした事は
想像していたけれど、最初に長野の安曇野周辺で土地探しをしていたとは知らなかった。

そして移住後におそらく知る事になる、土建王国、甲州選挙などは本当に心を痛めた事と
思います。自然に恵まれていればいる程、その自然を改変したり改悪して銭儲けをしたいという
業界が存在し、政治家も行政もそれに加担している現状はフライフィッシャーでもある樋口さんから
すればまさに極悪人でしょう。河川は砂防堰堤でズタズタに刻まれているのですから。

水問題(地下水)、焼却場問題、狩猟問題等々のご苦労が若干オブラートに包んでいる気がするのは
私だけかもしれませんが、家族を守るため、地域を守るための戦いだったことは明らかですね。

またお子様が居た事は地域の会合や子供を通しての活動などで地元住民と交流出来た良い場だったのかとも思います。

後書きで、書かれています。
「もしそこから学んでいただけるとしたら、作者として本書を書いた甲斐があると思う。」

そうである、甲斐(山梨)で生き甲斐を感じて、今後もガンガンと活動をしてもらいたいと思うのである。


そうそう、刈払い機ですが、4サイクルも最近ありますです。

田舎暮らし毒本 (光文社新書)
樋口 明雄
光文社
2021-09-15