一言で要約すれば、忘れられた日本人、山人(ヤモウド)編。良書。

三宅さんがこれまでに取材し各種媒体に掲載されたものに加筆修正、そしてフォローアップしている。

それほど遠い昔ではない日本の山々で行われていた生業。

これまでの多くの民俗学者や作家が全国の山仕事などを記録に残している。
そして、時代が進むにつれて、人々の記憶から山人の技術や伝統が失われていく。

炭焼きに関しては著者は別に1冊良書を出されているが(炭焼紀行)、本書でも今も続く炭焼きを
しっかりと追い続けているのに頭が下がる。また内山節氏らとの共著でもある「十三戸のムラ輝く 」(2006)も素晴らしい。

本書ではゼンマイ折り、馬橇(ソリ)、木地師、職漁師(山椒魚)、かんじき作り等々の
山仕事を丁寧に取材されています。

書中に掲載されている写真に写る人々の顔が生き生きしている、もちろん三宅さんの
カメラマンとして腕が良いのは分かるが、山に生きる人々の内面の清涼さを感じるのである。

自分のメモとしてこれまで山住みの人々の生活を丁寧に追った作家や編集者の方を
記しておきたい。
白日社 志村俊司 氏編集のシリーズ 山人の賦etc
甲斐崎圭
根深誠
高桑信一
戸門秀雄、藤野鈴夫 川の職漁師
そして、もちろん宮本常一 「忘れられた日本人」等々