図書館本

コロナ禍で不必要な言説がなければ、本書がサイエンスに興味を持つ多くの方に
ウイルス学の素晴らしさを提示出来たと思うと残念な思いもある。

コロナ禍において、誰もが未知との遭遇的な対応であり、それはウイルス学者であっても
同じであっただろう。数少ないコロナウイルスの本邦における専門家(私立医大の教授は
本邦にコロナウイルスの専門家はいないと書く無知を晒したけれど)ですら、当初は、パンデミックにはならないであろうであろうとコメントしていた。それがこれまでヒト、動物のコロナウイルスを扱ってきた専門家の考えでもあったのだ。

宮沢氏はレトロウイルスの専門家であることはウイルス学分野では誰もの認め、これまでの業績を否定する研究者は皆無であろう。

しかしながら、まったくの似非研究者であるタレントの岡田某などと同じ土俵で言論を戦わしてしまった事が専門家からも危惧された訳だ。

少なくとも最新の論文資料にはアクセスできる訳だから、つねにリファレンスとして自身の論調の裏打ちとして発言するのが最も効果的であると考えたが、マスコミや専門家は都合の良い部分やケアレスミスを指摘してくる。逆に岡田某の様に最新情報も知らず、適当に危機を煽り、当たり前の感染症対策だけを専門家のふりをして喋って民衆の支持を得る、時に何もデータを持たず、アビガン、アビガンと叫んだのはご記憶の事であろう。

そんな背景であるから、もう少し、落ち着いて、丁寧に自分の専門外のウイルスに関して発言すれば本書は明らかに素晴らしいウイルス学入門書であり、宮沢氏の死生観にも繋がる良書なのである。






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