絶好調アニメ業界 現場に恩恵届かず、若手の低賃金続く やまぬ離職 強固な慣行「政府介入を」:東京新聞デジタル

こんな番組もありましたね。NHK
世界の漫画が、安い給料で働かせられる若者に上に成り立っている。
そして、稼ぐ広告代理店等の連中。
エンタメを国策として成功した隣国韓国を少しは見習えよ!
以下記事
番組契約やグッズ販売といった海外展開の伸びなどを受け、市場規模が3兆円を超えて過去最高となった日本のアニメ産業。しかし、制作現場への還元率は低く、特に若手の賃金は抑えられたままだ。このままでは、将来の業界発展に暗雲が漂う。背景にはアニメ界の強固な業界慣行があり、専門家は改善を促すべく、行政の適切な介入の必要性を強調する。 (川上義則)
◆配分
アニメの業界団体「日本動画協会」は昨年12月、2023年の市場規模を発表。前年比14%増の3兆3465億円となり、過去最高を記録した。テレビや映画、配信でアニメを視聴したり、関連グッズを買ったり、関連イベントに参加したりした人が支払った総額を推計した数字だ。
その中で、実際にアニメを作る制作会社が得た金額は少ない。23年の制作会社の総売り上げは計4272億円と、現場には市場規模の13%しか配分されていない。
アニメの大半は、お金を出す「製作委員会」が制作会社に発注して作られる。委員会のメンバーは、放映や宣伝の手段を握る大企業ばかり。動画協会の石川直樹事務局次長(51)は「上の立場(委員会メンバー)に、下の立場(制作会社)から何も言えない」と、配分が小さくても交渉しにくい制作会社の立場の弱さを説く。
制作会社は全国811社(20年の動画協会調査)に上り、11年の2倍近くとなった。うち、アニメの企画や制作の中核を担う「元請け」の制作会社は約100社とされる。「アニメ業界ではクリエーターの『作りたい』という意欲が優先される」と、大手制作会社「トムス・エンタテインメント」の中場崇之知財管理部長(42)。クリエーターの意をくんだプロデューサーらが独立した結果、会社数は増加し、テレビアニメの作品数も308本(20年)と11年の1・4倍に増えた。
昨今のアニメ人気で、実績のある大手制作会社は制作費を引き上げられ、製作委員会にも出資して知的財産権の一部を保有し、グッズ販売などで長く利益が得られる。だが、実績のない新興の制作会社は、低い制作費で受注し、知的財産権も持てない。23年は制作会社の45%が増益を果たした一方、32%は赤字で二極化は鮮明だ。
◆収益
アニメ制作には1作品につき数百人が携わる。アニメーターのようなクリエーターも多い。賃金を払うのは製作委員会ではなく制作会社だ。収益が十分配分されないと、賃金は低く抑えられる。アニメの旺盛な海外需要に対応するためにも、クリエーターを増やさなければならないが、配分が小さいままでは対応できない。
製作委員会と制作会社の上下関係は、何十年も続く強固な業界慣行。「アニメ関係者で状況を打破するのは難しい。政府が介入し、制作会社の配分を大きく増やすしかない」と、日本総研の安井洋輔主任研究員(44)は言い切る。
日本総研と業界団体によるアニメーターらへのアンケートでは、アニメ産業の市場規模のうち制作会社への適正配分を「5割程度」とする回答が多かった。安井さんは「他業界と比べても適正な調整の範囲だ」とみる。その上で、制作会社の経営安定化のため、制作費の引き上げに加え、委員会への出資の有無にかかわらず、知的財産権の最低10%付与を提言する。
◆改善
「以前は、新人アニメーターが10人入っても、3年たつと2、3人しか残らなかった」。アニメーター歴40年近い赤堀重雄さん(59)=写真=は振り返る。業界団体の調査では、アニメーターの平均年収は09年の255万円から23年に455万円に上がり、労働時間も月平均で3割短い198時間に改善された。ただ、恩恵を受けるのは技能のある中堅以上で、20代、30代の若手の待遇は低いまま。定着率もさほど上がっていない。赤堀さんは「絵がうまくても、賃金が低いと将来展望が描けずに辞めていく」と現状を説明する。
オリジナルのキャラクターを描く赤堀重雄さん=東京都内で
実は、アニメーターは業界内では花形で、撮影や色彩設定など他の職種を含む業界全体の4割近くが、年収240万円以下という調査結果もある。
苦しい状況下でも、制作者たちの情熱と意欲でアニメは作られてきた。赤堀さんも「オリジナルの物語を手がけたい」と企画を練り、ファンにアピールしようと模索する。アニメ界には若いクリエーターが情熱を燃やせる環境づくりが求められている。
<アニメ製作委員会> アニメを作る制作会社への出資会社でつくる団体。アニメの制作費はテレビ用の1話(30分)で2500万〜5千万円で、1クール(12話、3カ月分)3億〜6億円。これを1社で負担するのはリスクが大きいことから、1990年代ごろから複数社で負担する仕組みがとられた。中核を担うのは、ビデオやグッズのメーカー、テレビ局、映画会社、配信会社、広告代理店、出版社などで、アニメの放映や宣伝を一手に握る大手の流通事業者。著作権など知的財産権は委員会で保有するケースが多い。
