リニア認可取り消し訴訟 住民側の訴え棄却 東京地裁 原告団長「控訴して次の戦いへ準備」:東京新聞 TOKYO Web




まさに原発立地裁判や原発稼働停止裁判と同じ構図

以下記事

 JR東海が東京・品川―名古屋間で建設中のリニア中央新幹線を巡り、沿線住民らが同社の環境影響評価(アセスメント)は不十分だなどとして国に工事認可の取り消しを求めた行政訴訟の判決で、東京地裁は18日、「認可に違法性はない」として訴えを棄却した。住民側は控訴する方針。(加藤益丈)



◆裁判長「環境影響評価に違法性ない」
 判決理由で市原義孝裁判長(篠田賢治裁判長代読)は、国土交通相による認可について「裁量権の逸脱や乱用はない」と判断した。JR東海の環境影響評価にも違法性はないとし、工事による水源への影響やトンネル掘削で出る土の処分先の確保が不十分だとする住民側の主張を退けた。
 住民側は、地震や火災の対策など安全性の確保が不十分と主張したが、市原裁判長は「原告の法律上の利益に関係しない」とした。
 国交省は「係争中の案件なのでコメントを控える」、JR東海は「適切な判断をいただいた。引き続き着実に工事を進めたい」とのコメントを明らかにした。
 リニアの工事は2014年10月、国交省が認可し、JR東海は同年12月、27年開業を目指して着工。しかし、静岡県が大井川の流量減少を懸念して静岡工区の着工を認めておらず、目標通りの開業は難しい状況にある。
◆「裁判所は責任を放棄」と憤り
 国がJR東海に出したリニア中央新幹線の工事認可に違法性はないとして、認可の取り消しを認めなかった18日の東京地裁判決。原告は東京都内で記者会見を開き、「自然環境に被害が出ても仕方ないと言わんばかりの判決だ。裁判所は責任を放棄した」と憤りをあらわにした。


 提訴は2016年5月。「リニアは安全性が確保されておらず、自然環境への悪影響が大きい」として、原告には全国715人が名を連ねた。19年3月には67人が追加提訴し、計782人の大原告団に。地裁は20年12月、約530人は「原告適格が認められない」として訴えを却下したものの、沿線の1都6県の約250人のみ審理を続けてきた。
 この日の判決は、原告の訴えを次々と退けた。原告団長の川村晃生慶応大名誉教授(76)=甲府市=は会見で、「7年間にわたり、住民への被害や自然環境への影響を訴えてきたが、裁判所はくみ取ってくれなかった。控訴して次の戦いの準備に入りたい」と表情を引き締めた。
 リニアを巡っては、工事で生活が脅かされるなどとして、東京、静岡、甲府の各地裁で沿線住民が同社を相手に工事差し止めを求める民事訴訟を起こし、審理が続いている。認可取り消し訴訟弁護団共同代表の関島保雄弁護士は「行政訴訟と民事訴訟は争点が異なり、影響はない」と語った。
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