図書館本 良書

結論から書けば、著者の主張は生態系の事をネットやメディアの記事を鵜呑みにする事なく
色んな立場から考えてみてはどうだろうか?という事。この辺は著者が生物系のバックグラウンドが
あるからなのだろうとは想像するし、間違ってはいない。
そして、生物の多様性を保全し、豊かな生態系サービスを受けられる社会をどう作り、守り、引き継いでいくのかという事だと指摘します。



いかにステレオタイプの言説がこれまでまかり通って来たかが本書でもわかる。

タイトルの池の水を抜くは、テレビ番組で話題になったモノを想定しているが、俯瞰的に考察していて長所も短所もある事が良くわかる。


本書の良い点は、メディアに登場した犯罪であったり良かれて思ってやっている放流事業や餌やりなどを多面的に論じている点であろう。絶滅危惧種や保護対象動物の違法捕獲とネット販売にも触れている。

さらに昨今のSNS映えでの野生動物との自撮りや、環境改変しての
野鳥や他の動物の撮影などにも論が及ぶ。今後は(既に?)ドローンなども撮影に使われるので
ますます絶滅危惧種などの保護に問題が出て来るかもしれません。

ブラックバス問題も、バスの違法放流などが行われている現状で、すべてのバサーが犯罪者で有る訳でも無い事は確かである。(ある意味ニジマスの放流でオショロコマの生存域が限局してきている問題と同じかな)

駆除される動物に罪は無い。もちろんその通りですね。ではなぜ駆除せざるを得ない状況を人間が作り出したのか?そこを真剣に考えないと取り返しのつかない地球に自然になってしまうというのは明らかでしょう。