図書館本

鴻上さん(1958-)の本は初めてです。

いじめ問題、自殺、子供の貧困、格差、スクールカーストなど学校を取り巻く環境が劣化していると
感じる今日この頃です。

いかに良く生きるかという課題は子供にも大人にもつねに問われている。
本書は青少年向けに書かれているのだろうけど、もちろん成人した社会人などにも
十分に心の栄養になるだろうと感じます。

著者は日本的(だけだとは思いませんが)な事として
「世間」と「社会」の違いを説明します。この違いの理解が生きる上で
自分の行動を客観的に見る指標になりそうです。

そしてその世間にはいくつかのルールがあります。
例えば、年上がエライ、同じ時間を生きる事が大切、仲間外れを作る等々です。
それは「空気」「ムード」「ノリ」「雰囲気」と非常にリンクしていると指摘します。
さらに同調圧力という変な平等意識。


まあ、狩猟社会と農耕社会との違いで世間と社会を比べるのはちょっと違う気はしましたが、
日本のおかしな面は的確に指摘しています。

要するに、適度に「世間」を理解して、社会との関係性を大切にする生き方が良いという
結論です。
学生時代にのけ者にされて辛い思いするよりは、薄く世間に溶け込んで、学校以外の場所に
居場所を求める。そんな生き方はどうでしょう?

そして、それは会社に属しても、年功序列が当たり前になっている様な場所は事前に今は
分かっているので、自分にあった職種や会社を選べば良い。

ニッポンスゴイという自慰的リア充大人(非常に狭い世間)に成るよりは、個人として
同調圧力に屈しない自由な生き方を著者は勧めていると思います。
別に日本だけが生きる場所ではないのだから。