図書館本 再読

青木さん(1966-)の取材報道姿勢には共感を覚え、なるべく出版された書は読む様にしています。
権力や金に忖度するエセジャーナリストが多い今日この頃、権力の監視システムとしてのジャーナリズムを体現している方だと思っています。

本書はサンデー毎日の連載や掲載された記事を加筆修正している。

いかに国家や権力が公文書を改竄、捏造、違法廃棄しているかが事実に基づき綴られている。
また警察の犯罪とメディアの戦い(北海道新聞)も興味深い。

メディア人として多くの方が今も尊敬している信濃毎日の主筆をした桐生 悠々のジャーナリストの
生き様を青木さんもなぞっていることが分かる。
加計問題でも最初に前川元次官をTBSラジオでインタビューしたのも青木さんである。
時の権力が都合が悪いと考えれば、官僚トップまで陥れようとする事がわかる(残念ながら
前川氏になんら落ち度が無かったので読売の報道の異常さがより鮮明となった)
2017年11月6日沖縄タイムスの百田尚樹氏の記者(阿部氏)への差別侮辱に関する記事を引用して
差別と卑怯という文脈で正義の記事を書かれている。
下記に引用しておきます。
[大弦小弦]作家の百田尚樹氏から「悪魔に魂を売った記者」という異名をいただいた・・・
作家の百田尚樹氏から「悪魔に魂を売った記者」という異名をいただいた。出世のために初心を捨て、偏った記事を書いているからだという。数百人の聴衆がどっと沸き、私も笑ってしまった

▼先月末に名護市で開かれた講演会。事前に申し込んで取材に行くと、最前列中央の席に案内された。壇上でマイクを握った百田氏は、最初から最後まで私を名指しして嘲笑を向けてきた
▼特異な状況だからこそ、普通に取材する。そう決めたが、一度メモを取る手が止まった。「中国が琉球を乗っ取ったら、阿部さんの娘さんは中国人の慰み者になります」
▼逆らう連中は痛い目に遭えばいい。ただし自分は高みの見物、手を汚すのは他者、という態度。あえて尊厳を傷つける言葉を探す人間性。そして沖縄を簡単に切り捨てる思考
▼百田氏は2015年に問題になった自民党本部の講演でも「沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはずだ」と話している。県民は実際に沖縄戦で本土を守る時間稼ぎの道具として使われ、4人に1人が犠牲になった。歴史に向き合えば本土の側から口にできる言葉ではない
▼差別と卑怯(ひきょう)は続く。百田氏はなおも「反対派の中核は中国の工作員」などとデマを並べ、沖縄への米軍基地集中を正当化する。「沖縄大好き」というリップサービスがむなしい。(阿部岳)
引用ここまで

敗戦記念日直前の8月14日に政府および軍部が関係書類を焼却するように指示した事実は
日本の公文書管理のまさに負の歴史であり、公文書管理法が出来たにもかかわらず現政権は
まさに敗戦時と同じ対応していることが日本の悲劇かと思う。

情報隠蔽国家
青木理
河出書房新社
2018-02-24