図書館本 良書

保阪さん(1939-)と半藤 一利さん(1930-)の近現代史の調査記録等には信頼を置いています。義務教育や高校でも教科書では詳しく習う事のない日本の近代史を莫大な資料や当事者およびその家族から聞き取りをして歴史を考証してきています。

本書では東條英機、石原莞爾、犬養毅(娘の道子)、渡辺錠太郎(娘の渡辺和子)瀬島龍三、吉田茂(娘の麻生和子)について書かれています。
歴史にIf は無いと言われていますが、東条英機が居なければ、日本の戦後は変わっていたのだろうと容易に想像がつきます。
未だに東京裁判に関して異議をとらえる輩もいますが、それ以前の問題として、戦争に突入した政治とその周辺の事をしっかり検証しなければ同じ過ちをまた繰り返すのでしょう。著者も現政権の危なさを当然感じているのです。

備忘録メモ
東條は文学書を読んでいない(秘書役の赤松談)
東條は人事を動かすのが大好き 東條人事こそが陸軍最大の誤り
施政方針演説など徳富蘇峰に添削してもらい、秘書がルビを入れる。
東條の精神力の戦争 軍人に国を任せたことの悲劇
太平洋戦争中 東條は石原莞爾を監視(特高警察を使い)東條暗殺未遂事件
昭和10年代の陸軍人事の過ち
石原莞爾 兵士を人間として扱う
トラウトマン工作 日中和平 南京
1932年(昭和7年)5月15日 5.15事件 犬養首相殺害 「靴でも脱げや、話を聞こう」
ゾルゲ事件で父健の逮捕(無罪)
1936(昭和11)年2月26日 2.26事件 渡辺錠太郎(陸軍大将)殺害 和子9歳現場に。
後にノートルダム清心女子学園理事長
皇道派(荒木元陸相、真崎大将が青年将校を煽った?)50年後処刑された青年将校の慰霊日 澤地久枝さんと
保阪氏の瀬島氏インタビュー 瀬島氏75歳 保阪氏48歳 事務所への自由アクセスを許される
 3つの事象 ソ連スパイ説 収容所の赤いナポレオン、東芝ココム事件
ソ連側証人としての東京裁判
吉田茂と護憲 反戦
12条の自主戦犯裁判の法案
講和条約 東京裁判の受け入れ、謝罪の受け入れ国多数 領土問題への言及 ソ連の違法占拠

目次

第1章 東條英機は何に脅えていたのか
第2章 石原莞爾は東條暗殺計画を知っていたのか
第3章 石原莞爾の「世界最終戦論」とは何だったのか
第4章 犬養毅は襲撃の影を見抜いていたのか
第5章 渡辺和子は死ぬまで誰を赦さなかったのか
第6章 瀬島龍三は史実をどう改竄したのか
第7章 吉田茂はなぜ護憲にこだわったのか