これまで原発安全神話と作ってきた日本社会の問題点を広告代理店と電力会社、電事連の関係性を明らかにしてきた著者の本間さん(1963-)。
近著では憲法改正に絡む権力側の広告戦略に潜む危険性を分かりやすく指摘している(メディアに操作される憲法改正国民投票、岩波ブックレット)。
本書では(超)巨大広告代理店である電通の問題を多面的かつ深層から私たちの目の前に示してくれています。
結論からいうと、第4の権力のはずのマスメディアを凌駕する第5の権力者としての電通の存在が国民を脅かしているということだろう。第4の権力が忖度、自主規制している現状がわかります。
そして、電通の、電通による、電通のための東京五輪 ボランティアは無償奉仕で熱中症も自己責任の様です。
最後に本間さんが書きます。実に陳腐で凡庸で利己主義的な集団だと。
備忘録メモ
日本では制限のないクロスオーナーシップ(特定資本が複数のメディアを傘下にすること)
各種メディアの広告依存率の高さ(新聞、雑誌、テレビ・ラジオ、インターネット)
スポーツイベントでの電通の圧倒的寡占状況(オリンピック、ワールドカップ、国内イベント等)
東京五輪、エンブレム問題 電通が絡んだ出来レース
五輪組織委員会に電通から多数出向
広告業界から電通批判が起こらない(批判できない状況)
五輪招致での不明瞭なコンサルタント料支出(現在も海外では調査が進んでいるとの報道あり)
電通過労死事件と電通の対応 当初はネットメディアからの報道のみ (テレビ新聞は忖度?)
2016年10月電通社長が官邸に呼ばれた
NHKがまず高橋まつりさんの自殺事件を報道、その後民放
全国4新聞は五輪スポンサー
五輪組織委員会 電通を1か月の発注停止処分のみ
ワセダクロニクル(早稲田大学ジャーナリズム研究所が運営する調査報道メディア)が電通の子会社、電通PRと共同通信社の癒着をスクープ(金銭をKK共同の記者に提供して記事)このスクープとその後の関連情報を他のメディアは報道しない
憲法改正国民投票と電通の関係性 国民投票での広告費は千数百億の予想。 衆参議員選挙が約500億円と言われている。(資金を持つ側が断然有利、さらに権力側が有利)
JOCは社団法人で財務内容詳細を明らかにする義務がない。都の管理下に置くことを森組織委会長は抵抗
ボランティアに無償という意味はない また五輪ボランティアは無給という決まりなどない
2016年参院選 TVCM 自民―電通(TBS フジ)、ADK(テレ朝、テレ東)、I&S(日テレ) 各テレビ局審査部からの疑問点(ファクトがあまりに根拠曖昧)