図書館本

NHKラジオ「こころをよむ」シリーズを再構成された様です。
それにしても、島薗先生の読書量と多分野にわたる知の集積はスゴイです。

人生の過程で読む本、見る映画、ドラマ、演劇等々 その中の多くに宗教性が含有していることが
わかります。
生老病死、四苦八苦、そんな必然の中に人は救いや希望、そして夢を求めるのでしょう。

無宗教の「無」は仏教由来だと養老先生は書いていました。種々な宗教と物語との関係性を
島薗先生が非常に分かりやすく解説しています。

備忘録的メモ
物語には宗教を「ほどく」働きがをもつものがある。そうした物語を通して宗教を「ほどく」
善悪一如:善と悪とは密接に絡みあっているから、はっきり切り分けることはできない。
苦難の中にこそ、生の輝きが現れ出る。第4章の作品


目次 NHK出版HPより
序 章 宗教は物語のなかにある――人は「四つの限界」の前にたたずむ
第一章 「死」を超える
 一)永遠のいのちを求めて…アンデルセン『人魚姫』
 二)死の影を脱する…マクドナルド『軽いお姫さま』
 三)無限のいのちの恵みを知る…宮沢賢治『なめとこ山の熊』
第二章「弱さ」と向き合う
 一)弱さを認め︑還る場所 …『新約聖書』「放蕩息子の帰還」と『法華経』「長者窮子のたとえ」
 二)自由と責任を学ぶ途  …キングスレイ『水の子陸の子のためのおとぎばなし』
 三)心の空白にもがく…トルストイ『イワン・イリッチの死』
 四)猫とともに歩む…西加奈子『きりこについて』
第三章「悪」に向き合う
 一)罪と悔い改めの道…『観無量寿経』『大菩薩涅槃経』、阿闍世王の物語
 二)救いを信じられるか?…倉田百三『出家とその弟子』
 三)悪の自覚とともに生きる…武田泰淳『ひかりごけ』
 四)殺意の奔流に抗して…星野智幸『呪文』
第四章「苦難」を受け止める
 一)去りゆく者の慈しみ…深沢七郎『楢山節考』
 二)魂の輝きに言葉を…石牟礼道子『苦海浄土―わが水俣病』
 三)すべての祈りを包む河…遠藤周作『深い河(ディープ・リバー)』
終 章 重なり合う宗教と物語の力――現代文学のなかの宗教