フィールドノート古今東西 古今書院 2016 献本御礼
FENICS 100万人のフィールドワーカーシリーズ15冊のうちの1冊
決して研究者だけの本ではないのである。身の回りの自然、文化、歴史、それらを観察するときの視点や記録の方法などを研究者はどう捉えているのか?
本書はフィールドノートに特化しているように思われるが、実はフィールドワークとはどんなことなのか、実際にどんな仕事をして、どんな研究に繋がるのか等々。
多くの研究者の実際の行動が記載されているし、フィールドで使われているノートの現物も掲載されている。下記の目次が示すように、多様な研究分野の研究者が執筆していて見ても読んでも楽しい。
そして実感したのです、多くのフィールドワーカーによる日本での、世界での絶え間ない努力と調査で科学が着実に進歩することを。
そこにはマネーゲームや無限を信仰するような金融工学といった経済原理主義は存在しないのだと。
地面に根を下ろし、そこで生活する人間、動物、植物そしてそれらを取り巻く環境を真剣に調査研究する態度こそがアカデミックなのだと。
そしてそんな地道なフィールドワークが本来ならば、原発立地の危険性や、ダム、高速道路、リニア新幹線等の環境アセスメントの違法性を証明してくれるはずなのだろうと。
権力に寄り掛からない多くのフィールドワーカーが存在することが日本や世界の良い未来に貢献するのでしょう。
目次
イントロダクション フィールドノート古今東西 (梶丸 岳/人類学)
Part1ノートを持ってフィールドへ
1 植物学者のフィールドノート:足跡を丸ごと記録する(倉田薫子/植物学)
2 民族音楽学者のフィールドノート:言葉をあつめて演奏と研究をつなぐ(増野亜子/民族音楽学)
3 ミュージアム研究のフィールドノート:デジタル時代のノートと「ノート」(小森真樹/博物館学)
Column 1 人文地理学者のフィールドノート:断片的な記録の積み重ねからストーリーへ(柚洞一央/人文地理学)
Column 2 霊長類学者のフィールドノート:私の試行錯誤(久世濃子/霊長類学)
Part2 調査に埋め込まれるノート
4 気象観測におけるフィールドノート:観測状況を記録する20のポイント(安永数明/気象学)
5 建築・都市の歴史研究におけるフィールドノート:エチオピア・ゴンダールの住宅を調べる(設楽知弘/建築学)
6 進化生物学者のフィールドノート:「カタツムリのしっぽ切り」から迫る、幻のヘビの生態(細 将貴/進化生物学)
Column 3 洞窟調査とフィールドノート(長谷川 航/洞窟学・洞窟探検)
Column 4 古生物学調査でのフィールドノートの使い方(平田正礼/地質学)
Part3 ノートが開くつながり
7 カスカの古老と絵を描く人類学者:北米先住民の狩猟実践や動物認識調査におけるフィールドノートの役割(山口未花子/生態人類学)
8 調査研究と生活を支えるフィールドノート:調査データ集からライフログへ(阿児雄之/考古学)
Column 5 犬ぞり北極探検家もフィールドノートを使う(山崎哲秀/探検家)
9 被調査者が描くフィールドノート:中国・黄土高原の人びとの地図・スケッチ・即興詞(丹羽朋子/文化人類学)
10 先達フィールドワーカーたちの遺産に学ぶ(角南 聡一郎/民俗学)
Part4座談会 フィールドノートとそのまわり 編集後記(椎野若菜/社会人類学)
FENICS 100万人のフィールドワーカーシリーズ15冊のうちの1冊
決して研究者だけの本ではないのである。身の回りの自然、文化、歴史、それらを観察するときの視点や記録の方法などを研究者はどう捉えているのか?
本書はフィールドノートに特化しているように思われるが、実はフィールドワークとはどんなことなのか、実際にどんな仕事をして、どんな研究に繋がるのか等々。
多くの研究者の実際の行動が記載されているし、フィールドで使われているノートの現物も掲載されている。下記の目次が示すように、多様な研究分野の研究者が執筆していて見ても読んでも楽しい。
そして実感したのです、多くのフィールドワーカーによる日本での、世界での絶え間ない努力と調査で科学が着実に進歩することを。
そこにはマネーゲームや無限を信仰するような金融工学といった経済原理主義は存在しないのだと。
地面に根を下ろし、そこで生活する人間、動物、植物そしてそれらを取り巻く環境を真剣に調査研究する態度こそがアカデミックなのだと。
そしてそんな地道なフィールドワークが本来ならば、原発立地の危険性や、ダム、高速道路、リニア新幹線等の環境アセスメントの違法性を証明してくれるはずなのだろうと。
権力に寄り掛からない多くのフィールドワーカーが存在することが日本や世界の良い未来に貢献するのでしょう。
目次
イントロダクション フィールドノート古今東西 (梶丸 岳/人類学)
Part1ノートを持ってフィールドへ
1 植物学者のフィールドノート:足跡を丸ごと記録する(倉田薫子/植物学)
2 民族音楽学者のフィールドノート:言葉をあつめて演奏と研究をつなぐ(増野亜子/民族音楽学)
3 ミュージアム研究のフィールドノート:デジタル時代のノートと「ノート」(小森真樹/博物館学)
Column 1 人文地理学者のフィールドノート:断片的な記録の積み重ねからストーリーへ(柚洞一央/人文地理学)
Column 2 霊長類学者のフィールドノート:私の試行錯誤(久世濃子/霊長類学)
Part2 調査に埋め込まれるノート
4 気象観測におけるフィールドノート:観測状況を記録する20のポイント(安永数明/気象学)
5 建築・都市の歴史研究におけるフィールドノート:エチオピア・ゴンダールの住宅を調べる(設楽知弘/建築学)
6 進化生物学者のフィールドノート:「カタツムリのしっぽ切り」から迫る、幻のヘビの生態(細 将貴/進化生物学)
Column 3 洞窟調査とフィールドノート(長谷川 航/洞窟学・洞窟探検)
Column 4 古生物学調査でのフィールドノートの使い方(平田正礼/地質学)
Part3 ノートが開くつながり
7 カスカの古老と絵を描く人類学者:北米先住民の狩猟実践や動物認識調査におけるフィールドノートの役割(山口未花子/生態人類学)
8 調査研究と生活を支えるフィールドノート:調査データ集からライフログへ(阿児雄之/考古学)
Column 5 犬ぞり北極探検家もフィールドノートを使う(山崎哲秀/探検家)
9 被調査者が描くフィールドノート:中国・黄土高原の人びとの地図・スケッチ・即興詞(丹羽朋子/文化人類学)
10 先達フィールドワーカーたちの遺産に学ぶ(角南 聡一郎/民俗学)
Part4座談会 フィールドノートとそのまわり 編集後記(椎野若菜/社会人類学)