東京新聞:リニア中止求め東京地裁に提訴 沿線住民ら700人以上:社会(TOKYO Web)

2016年5月20日

建設中のリニア中央新幹線に反対する市民団体のメンバーらが20日、国が2014年10月に出したJR東海に対する着工認可を取り消すよう求め、東京地裁に提訴した。原告は東京、神奈川、山梨、長野、静岡、愛知、岐阜の1都6県の沿線住民ら700人以上。

 JR東海は27年に東京・品川―名古屋間の286キロを先行開業する予定で、今年1月に品川駅の工事に着手するなど、各地で建設工事を本格化させている。

 原告側は、巨額の工事資金で採算性に問題がある上、JR東海の工事実施計画には地震や火災といった事故発生時の乗客の安全対策について記載がないなどと主張している。
(共同)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201605/CK2016052102000142.html

相模原の記事 5月21日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201605/CK2016052102000154.html?ref=rank

リニア中央新幹線の沿線住民らが国に工事認可取り消しを求めて二十日に東京地裁で起こした訴訟には、県内からも多くの原告が参加している。中間駅が設置される相模原市内では同日、同市内の原告百十三人のうち、市民団体「リニア新幹線を考える相模原連絡会」メンバーの原告五人が記者会見し、生活環境の保全を訴えた。(寺岡秀樹、小形佳奈)

 中間駅は、同市緑区のJR・京王橋本駅に設置される。原告らはこれまで沿線各地で起こりうる自然破壊や水枯れ、残土問題、同区の山あいにある鳥屋地区に車両基地が建設されることで生じる生活環境破壊などのおそれを指摘してきた。

 元城山町議松本三望さん(75)は「リニアは人格権を否定するような鉄道。裁判を通じて、計画の妥当性を問うとともに、環境や人間と共生できない乗り物であるとの世論が出てくることを期待する」と話した。

 車両基地は盛り土の上に東京ドーム約十個分の広さで建設され、訴状は「景観の破壊は明らか」「(工事車両の通行で)交通事故の危険性増大、排ガスなど受忍限度を超える生活環境の悪化を予想」と指摘。

 鳥屋地区の農業栗原晟さん(70)は「何が大切なのか、何を守っていくべきなのか、自然や環境の大切さを国民全体に問うた訴訟と意義付ける」と語った。原告ら十一人は建設予定地に地上権を登記し、事業の中止や遅延を図るトラスト運動も開始している。

 中間駅設置で、橋本駅近くの県立相原高校は移転が決まっている。同校には緑が広がり、市民に親しまれてきた。主婦桜井真理さん(60)は「相原高校の緑が失われ、市民の安心安全はかき消される。市民の犠牲の下に大きな計画が進められている」と訴えた。
◆川崎でも会見 残土問題を指摘

 川崎市役所では二十日、「リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会」のメンバーが会見し、「JR東海は計画を白紙に戻して再検討を」と訴えた。

 矢沢美也(よしや)共同代表(69)=麻生区=は「工事車両による大気汚染、工事の騒音などが心配」と話し、地下を掘って出る残土の行き先を決めないまま着工したことも問題だとした。会員は川崎市と東京都町田市に住む約六十人で、提訴に加わったのは半数という。

 JR東海の計画では、品川−名古屋間二百八十六キロの中で川崎市内の工事区間は約十六キロ。地権者の権利が及ばない深さ四十メートル以上の大深度地下を通る。中原、宮前、麻生の三区に合わせて五カ所の立て坑が設けられ、開業後は非常口になるという。

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