図書館本

馬場さんの以前の作品「大村智 2億人を病魔から救った化学者」2012の普及版とのこと。

いつノーベル賞を取るのかと思っていた世界の人々、科学者が多いと思う。
私もその一人であり、アフリカでの寄生虫疾患(オンカセルカ症等)の撲滅にどれほど大村先生が開発した薬が貢献したか、また畜産分野での動物薬としても。

本書では、まさに大村先生のこれまでの生き様をわかりやすく綴っている。
決して順風満帆ではなかった人生である。
やはり、科学にしても商売にしても真面目にズルしないで突き進む事が利他に繋がるのだということが
本書からわかる。

備忘録メモ
理科大への博士号のための論文提出後に奥様に連れられて精神科を訪れた。(研究に熱中し過ぎた反動)
秦藤樹(北里研の上司)との留学に際しての3つの約束
 北里で見つけられた化学物質研究のアメリカでの宣伝(売り込み)
 アメリカ公的機関からの研究補助金の導入
 北里研研究者の次の留学先の確保
大村の4つの顔
 研究者
 法人経営者
 人材育成者
 美術・教育界リーダー
メルク社との共同研究契約 年間8万ドルx3年 特許の排他的権利をメルクへ ロイヤリティを北里研へ
これまでのロイヤリティー200億以上(一時、理事会で3億の一時金で特許売却の話も)
ガーナ、アズベンデの現地視察 2004年9月
試料供与で共同研究も論文に共著者となっていなかったりすることも。
王森然記念館の開設
セルレニン、ラクタシスチン、スタウロスポリンの発見 (ノーベル化学賞の可能性も)
研究室閉鎖危機を独立採算制で確立で防ぐ(当時年間8000万の産学連携、12%を北里研に管理費)
北里研究所の経営危機を財務状況を見直し復活
北里研究所メディカルセンター建設 医師会の反対を住民署名運動で勝利 文化を担う病院 絵画や音楽会
高卒から学位取得、そして教授へ 高橋洋子

大村智物語―ノーベル賞への歩み
馬場 錬成
中央公論新社
2015-11