図書館本

テレビの番組でコメントしていて面白いヒトだなと思い読んでみた。
古谷さん(1982-)の論調はそれなりのデータに基づいて進むので、説得力がる。

本書の答えから書いてしまえば、若者は右傾化していない、右傾化しているのはネットにある種
精通した中年(30代、40代)ということだろう。そう、デマなのである。
作業仮説として、香山リカ氏の「ぷちナショナリズム症候群 若者たちのニッポン主義」、2002年の日韓ワールドカップを起源とする。


備忘録メモ
永遠のゼロは右傾? エンタメとして優秀
若者はインターネットに強く、経済不況のあおりを受けて、戦争の記憶が風化、その結果として右傾化が本当か?
2013年の参院選、2014年の都知事選の統計(年代別投票行動)から解析
ネット保守の3種の神器 憲法改正 自虐史観の是正、靖国神社への崇敬
この10年で一貫して高齢者の右傾化
インターネット=若者という図式は破たんしている
ネット保守を支えるのは30代、40代
新保守としての田母神氏 ネット保守が支えた赤池誠章(山梨、比例)
20代の25%しか投票に行かず、その2割強が田母神氏に投票 これが右傾化?
2013年参院選の結果を見ると 若者の左傾化
靖国参拝には賛成だが、右ではない 戦死者への哀悼の気持ちは持つが戦争で国家に命は捧げたくない
若者の政治への関心は他国と比べても高い
戦後の保守論壇をささえたフジサンケイグループ(産経新聞、フジテレビ、ニッポン放送、ポニーキャニオンなど80社以上)
産経新聞社は毎年フジテレビから20億以上の広告出稿 公表純利益とほぼ同額
社会的成功者としてのネット保守 
ネット右翼=ネット保守を包括する新保守そのものが実は貧困とは無縁の存在
アメリカ福音派と日本の新保守の類似性 「目覚める」という表現を多用する

筆者 「自分の才覚で小富裕 憲法改正、自虐史観是正の支持して小泉内閣、自民党支持者 新保守の典型的な姿を体現していたと言って良い」その後、リーマンショック後の経済不況、潜伏していたパニック障害の悪化 苦境に陥り、「自分は、決して一人だけの力で生きているのではないと」当然の事実に気が付く
保守の「三位一体」の思考パターン 高度国家の展開、貧困の自己責任論、マッチョイズム
保守派の活動の構造に問題

そして筆者は最後に
私が生きている間に、「愛国心はあるけど、死にたくない」「社会的弱者救済のために、選挙では右派政党に投票する」などといった、現在のイデオロギーからするとアンビバレントな感性を平然と表明する日本人が多数を占めてほしいと思う。それが普通の人間の感性であり、そして、”普通の国”の”普通の姿”なのだ。

若者は本当に右傾化しているのか
古谷経衡
アスペクト
2014-04-25