原題:EBOLA: The Natural and Human History of a Deadly Virus
2012年のSpillover (あふれだすことを意味する)に加筆、2014年からの西アフリカにおけるエボラアウトブレイクを追加
非常に緻密な聞き取りと現場取材を元にしたドキュメンタリーである。
「ホットゾーン」の様な嘘は散りばめられていないのが良い。
これまでのエボラやマールブルグ等の出現、そのレゼルバー(保菌(ウイルスだが)動物)の探索の歴史が分かりやすく綴られている。
備忘録メモ
1976年時点で実験室感染したヒトの精液中にウイルスが排出されること
2004年ロシア人女性 エボラ実験感染モルモットの血液入り注射器ミス 死亡
3種類のコウモリにエボラ遺伝子断片を検出(ウイルス分離は未達成) 2003年
生態環境と進化 生息地の破壊や食肉目的の野生動物の狩猟そして宿主動物に潜む未知のウイルスへの
人間の暴露ーこれらが生態環境。 いずれの現象も人間とほかの生物との間で発生し、主観的事象として捉えられる。一方、RNAウイルスの繁殖率や突然変異率、ウイルスの異種がほかと異なる成功を収めること、そして新あな宿主への適応ーこれが進化であり、それは生物の集団内で起こり、時間の経過とともに集団はその環境に反応する。
なぜコウモリなのか?食虫動物、受粉媒介者、種まき役、翼手目には1116種あり、哺乳類の25%を占める。寿命20−25年のものもいる。洞窟などでは1平方フィートに300匹が寄り添う(密着状態 狂犬病ウイルスの空気感染)
西原智昭氏(コンゴ、ガボン等での野生動物研究者 本書執筆者の取材同行あり)の指摘:熱帯雨林の大幅な減少(未知のウイルスとの接触機会を増加)、かなりの量が日本にも輸出されている。FSC(森林管理協議会)認証で違法伐採された材木を買わないこともエボラウイルスのアウトブレイクを予防する一助である。