「花子とアン」第135回〜訣別の時。生きる道が違ってしまった花子と蓮子|日々のダダ漏れ
花子の中の山梨県民性(あるいみ日本国民性?)を強く感じる会話
長いモノには巻かれろ、寄らば大樹の影的な生き方?
ブログより
花子) こんなに思ってくれる奥様がいるのに…。
(小声で) どうして龍一さん、そんな危険な活
動に加わってしまったのかしら?
蓮子) でも、龍一さんは、間違った事はしていない
わ。あの人は、誰よりも子供たちの将来の事
を考えているわ。だから今の国策に我慢でき
ないのよ。はなちゃんも、この間ラジオで言っ
てたわよね。「戦地の兵隊さんが、誉の凱旋
ができるよう、おうちのお手伝いをして、しっか
り、お勉強致しましょう」って。まるで、「みんな
頑張って強い兵隊になれ」と言っているように
聞こえたわ。
花子) あのニュース原稿は…。
蓮子) はなちゃんも…誰かに読まされているんでし
ょう? そうやって、戦争をしたくてたまらない
人たちが、国民を扇動しているのよ。
花子) 蓮様、声が…。
蓮子) 私は、戦地へやるために、
純平を産んで育ててきたんじゃないわ。
客) ごちそうさん。
かよ) ありがとうございました。
(店を出ていく客たち)
かよ) はい。おいしいコーヒーを入れましたよ。
お姉やんにはサイダー。
花子) ありがとう。お客さん、帰っちゃったわね。
蓮子) ごめんなさい。かよさん…。
かよ) いいえ。どうぞごゆっくり。誰もいなくなったか
ら、大きな声で話しても大丈夫ですよ。
花子) 蓮様。さっきのような考えを口にするのは、
今は慎んだ方がいいと思うわ。
蓮様まで捕まったらどうするの?
蓮子) はなちゃんは、本当は、どう思っているの?
花子) えっ…。
蓮子) ラジオのマイクの前で、日本軍がどこを攻撃
したとか、占領したとか、そんなニュースばか
り読んで…。ああいうニュースを、毎日毎日聞
かされたら、純粋な子供たちはたちまち感化さ
れてしまうわ。お国のために命を捧げるのが、
立派だと思ってしまう。
花子) 私だって戦争のニュースばかり、伝えたくない
わ。でも…こういう時だからこそ、子供たちの心
を少しでも明るくしたいの。私の「ごきげんよう」
の挨拶を待ってくれる子供たちがいる限り、私
は、語り手を続けるわ。
蓮子) そんなのは偽善よ。
優しい言葉で語りかけて、子供たちを恐ろしい
ところへ導いているかもしれないのよ。
花子) そんな…。私一人が抵抗したところで、世の
中の流れを止める事なんかできないわ。大き
な波が迫ってきているの。その波にのまれる
か、乗り越えられるかは、誰も分からない。
私たちの想像をはるかに超えた大きい波なん
ですもの。私もすごく恐ろしい…。でも…その
波に逆らったら、今の暮らしも、何もかも失っ
てしまう。大切な家族さえ守れなくなるのよ。
蓮子) やっぱりもう、うちの家族とは関わらないほう
がいいわ。こんなこと頼んだ私が間違ってた。
忘れてちょうだい。お勘定。
かよ) 蓮子さん。
花子) 待って。私は、蓮様が心配なの。
真っ直ぐで危なっかしくて…。
蓮子) はなちゃん…。心配ご無用よ。
私を誰だと思っているの?
華族の身分も、何もかも捨てて駆け落ちした、
宮本蓮子よ。
私は、時代の波に平伏したりしない。
世の中がどこへ向かおうと、
言いたい事を言う。書きたい事を書くわ。
あなたの様に、卑怯な生き方はしたくないの。
花子) そう…。分かったわ。
私たち…生きる道が違ってしまったわね。
これまでの友情には感謝します。
蓮子) ええ。さようなら。
花子) お元気で。