角本氏(1920年生まれ、東大法、鉄道省、国鉄等々)

以前下記の書籍を読み興味を持ちました。
新幹線開発物語 角本良平 中公文庫2001
その時の読書メモが下記
1964年の「東海道新幹線」に加筆訂正とのこと

技術論は省きます。
角本氏は「世界の鉄道経営、今後の選択(2007)」「常識の交通学(1999)」でも指摘していますが、21世紀の高速鉄道には非常に懐疑的である。

用地買収:沿線104の市町村に委員会設置。集団交渉方式 名古屋駅西地区 1700戸(台湾、中国、韓国人)強制立ち除き
土地収用法への疑問 新幹線の様な工期を急ぐ事業に不向き(私有財産権の制限?)
全線で数十億の道路経費(補修、新設)
工事費の大幅超過 1900億から3800億
新幹線の評価は現在においてもなお一致していない。

新幹線その後
東海道新幹線 開業3年目から黒字 政治は運賃引き上げ 結果 停滞 さらに東北、上越新幹線推進 経営破たんへ 上下分離方式へ?
輸送量 1990年代をピークに停滞 人口の停滞減少 将来予想は下り ローカル線のバス転換
リニア新幹線の将来性:技術自体の成否よりも、その実用化の可能性である。

問題点は3つ。
1.全く新しい技術をいきなり長距離区間に使用して安全か? 
2.建設費が巨大、国民が負担できるか? 
3.投資に見合う需要があるのか?
読書メモ ここまで

さて、本書です。
世界の鉄道データを使い日本の鉄道政策の異常?を指摘していく

いかに鉄道政策が作られ、現状を生んでしまったか。
国鉄の誤りはいつ、どこで発生したか。
敗退の現実(鉄道市場の変化、経営悪化を加速した労使と政治の無策等々
そこに見えるのは日本特異的思考方法と政策決定プロセスだろうか。

備忘録的メモ

十河信二が開いたパンドラの箱 十河(1884-1981)(1955-1963国鉄総裁)
都市と地方の人口増減の影響調査の必要性を指摘 しかし国鉄も政府も東海道地域の人口増加は永続と信じていた。都市ですら停滞の事実を見逃す
ドイツが撤退したリニアを日本で継続開発する疑問。実験線での騒音を聞いた新聞記者は何を感じたか。
東海道の建設費、予定の2倍 リニアは?

費用・効果分析の有効性 (政府は2000年度の公共事業から費用対効果を全面公表)
学会の常識
研究による浪費と現実遊離


目次
第1編 わが国の政策・学問を貫く日本型思考と打破の試み
第2編 国家を上位とする思想の克服
第3編 常識の交通学(交通と経済
欠損増大のプロジェクト群
提言―「常識の交通学」)