図書館本

非常に面白い、でも個人的にはなんら影響ない(笑)
いかに国益を守るかを元大蔵官僚がご自身の世界での経験を基に綴っている。
そして、著者の最大の問題意識:不必要な金融危機を何度も招き寄せるマネーの暴走、ヘッジ・ファンドなどにマネーゲームの舞台を提供しているタックス・ヘイブンの害悪。だと

本書では主に会社組織等の租税回避や脱税、マネーロンダリングが書かれているが、モナコ等に居住地を異動する日本人著名人の事も書いて欲しかったかなと。サッカー選手とかね。
節税、租税回避、脱税の事が良くわかります。
こんな著者の方です。ちなみに海外(ヘブロン)で狙撃された経験あり。
志賀 櫻(しが・さくら)
1949年東京都生まれ.1970年司法試験合格,1971年東京大学法学部卒業,大蔵省入省.熊本国税局宮崎税務署長,在連合王国日本国大使館参事官,主税局国際租税課長兼OECD租税委員会日本国メンバー,主計局主計官をへて,1993年警察庁へ出向,岐阜県警察本部長,1998年金融監督庁国際担当参事官兼FSF日本国メンバー,特定金融情報管理官兼FATF日本国メンバー,2000年東京税関長,2002年財務省退官,2010−12年政府税制調査会納税環境整備小委員会特別委員
現在-弁護士

さて備忘録的メモ

タックス・ヘイブンの特徴 まともな税制がない、固い秘密保持法制がある、金融規制やその他の法規制が欠如している
タックス・ギャップ:本来国庫に納付されるべき税金と実際に納付されてい税金との差額
タックス・ヘイブンリストには先進国も含まれる、イギリスのシティー等(GDPの20−30%を稼ぎだすと言われている)
オランダを経由する節税方法:ダッチ・サンドイッチ
本来日本の国庫に入るべき莫大な所得税が、どこか別の所に逃げていっている。税負担の公平性を損なっている。
マネーゲームの本質的欠陥は、使用している金融工学理論の様々なところに「無限」という数学的概念が組み込まれていること。
多国籍企業のグループ内での価格操作により税率の低い国や地域に利益を付け替える。
小渕総理、野中官房長官時代の銀行国有化の主導
日本の金融危機は長期にわたる失政の積み重ね 政治家の地元利益誘導、省益確保、タックスイーター。
円高で本来生き残れない、生き残る資格のない企業を保護政策で生き延びさせ日本経済の足を引っ張る
ヘッジ・ファンドの害悪
駅のホームの端から離れて立たなければいけないのは筆者と日本という国自体に当てはまる警告。
too big to fail (大きすぎて潰せない)ということがないようすることの重要性 金融機関
シティズンシップ課税、パーマネント・トラベラー問題 日本ではハリパタ翻訳者事件

税の対価としての「文明」を受け取る立場にいる一般の納税者が、正しく問題の所在を理解することのみ。
これが本書を刊行する目的。