大分前に購入していたんだけど、、、
やっと読めた。 原発やら人口問題だの、そんな本を読んでいると心が折れそうになる、そして怒りが収まらない。

本書は雑誌フィッシングカフェの13号から26号に掲載された大岡さん(1958−)の文章と1篇の書き下ろしから出来ている。
お恥ずかしい事にこのフィッシングカフェは持っているのである。いつか読もう読もうと思って書棚に鎮座しているのである。
だから、本当は本書を買わなくても読めたのである(笑)

文豪と言われる人たちと釣りの関係性を大岡さんの豊富な語彙で華麗に綴っている。おそらく開高健信者の中でもおそらく筆頭と言っても良いほどの方であろう。
個人的には登場する方の半分程の方の著作には触れた事があり、なるほど、え?そうなんだ、とか思いながら読み耽ってしまったのである。
非常に印象に残ったのは岡倉天心の章、六角堂近くの海での釣り、インドの女性詩人との文通。近く竹中直人主演で映画「天心」が公開されるという。是非見たいと思った。

おそらく大岡さんの品の良さであろう、佐藤垢石や山本素石等は登場しない(あるいは別の号で出ているのかな?)
ふと思った。大岡さんは内田樹氏の言うことろの文化資本者なのである。
子供の頃から知らず知らずに文学的芸術的な環境の中にいて(ご家族)、清らかに育まれてきた文章なのである。そして、釣りを通じてさらに自然資本者(これおいらの命名)にも到達してしまったのだ。


そうそう、「釣本の周辺 (1976年) 丸山信」なんかも非常に面白いです。


本書では
こんな人達が登場する。
目次:
開高健    六十五センチの幻
幸田露伴   なんちゃって文豪、鱸釣りに行くの記
井伏鱒二   山椒魚の憂鬱
坂口安吾   釣り師という人種
戸川幸夫   自然は平等である
岡倉天心   夢を釣る詩魂
福田蘭童   乾いた不思議な笛の音が…
山本周五郎 「ぶっくれ」で「ごったく」で、でも、いとおしいこの世界
佐々木栄松  カムイの輝く光を浴びて
中村星湖   釣りは性欲の変形?
立原正秋   釣りで人は救われるか?
尾崎一雄   大きいことはいいことだ?
森下雨村   ありがタイのかフクの神
池波正太郎  水郷・江戸の面影はいずこに
余は如何にして釣人となりし乎
あとがき

釣り、それは究極のエクスタシー。さすが名言である。

つりビジョンの動画はこちら五畳半の狼
動画の続き

釣本の周辺 (1976年)
丸山 信
白川書院
1976-12