「奇跡のリンゴ」という幻想 −無肥料農法は長続きしない− - バッタもん日記

カルト資本主義 (文春文庫) [文庫]

日本農業への正しい絶望法 (新潮新書) [単行本]
このブログ主さんの書き込みから転載させていただきます。
書籍「カルト資本主義(斉藤貴男、文春文庫、絶版)」は図書館にあるようですので読んでみたいと思います。
また土の重要性は、神門さんも良く書かれています。
5.余談 −戦う農学者−
東京農業大学に、後藤逸男博士という教授がいます。土壌学・肥料学の権威で、様々な活動を行っています。何と、あの悪名高いEM(Effective Microorganisms)に対し、辛辣な批判を行っていることでも知られています。以前別の記事で引用しましたが、後藤教授の発言を、書籍「カルト資本主義(斉藤貴男、文春文庫、絶版)」から再度引用します。
P247-248
「EMはイカサマ、これが結論です。EMボカシで収量が増えたという農家はありますが、それはボカシにする米糠などの有機質肥料や、畑に残っていた前年までの化学肥料が効いたか、ほかの畑の肥料が地下水で回ってきたまでのこと。化学肥料をやり過ぎていた農家が突然やめると、ちょうどよくなるんです。その証拠に、年を経るにしたがって収量が減っていったというケースばかり。こういう“自然農法”を、私は“お余り農法”と呼んでいます。農薬や化学肥料まみれの近代農法が嫌だという気持ちはわかりますけど、日本の土壌は残念ながら、自然農法ができるほど肥沃じゃないんです」
P273
「EMのようなイカサマが成立してしまうこと自体、取りも直さず、現代農業に対する警鐘に他なりません。化学肥料や農薬に頼りすぎる現状の問題点は、あらゆる研究者が認識しているしているのですから、ああいうものに農家の方が飛びつかなくてもよい農法を確立しなければいけないと自覚しています」
これは、農学者として素晴らしい発言だと思います。
また、後藤教授は東日本大震災で被災した農地の復旧に尽力しています。具体的には、福島第一原発事故の影響により土壌中に蓄積した放射性セシウムを土壌粒子に吸着させ、作物に吸収させないための技術、津波を受けた農地における塩害の克服技術の開発に取り組んでいます。
参考:農地復興に研究者の総力を 甚大な塩害と放射能汚染(東京農業大学)
もちろん、被災地の復興に参加している農学者は後藤教授だけではありません。私の知り合いでも数え切れないほどいます。しかし、疑似科学と戦う農学者はあまりいないので、この方の名前を覚えておいて頂ければ、私としては幸いです。それに加えて、農業、農学の側にも「肥料や農薬の使い過ぎは望ましくない。できるだけ減らそう」という考えがあることも覚えておいて下さい。
参考:毎日フォーラム・あしたの日本へ:東京農業大学教授(全国土の会会長) 後藤逸男氏(毎日新聞)

カルト資本主義 (文春文庫) [文庫]

日本農業への正しい絶望法 (新潮新書) [単行本]