大型の魚「放流のすすめ」 専門家講演 釣りすぎ→小型化に警鐘 山梨 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

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大型の魚「放流のすすめ」 専門家講演 釣りすぎ→小型化に警鐘 山梨

産経新聞 6月20日(木)7時55分配信

 ビッグサイズの魚を釣りたい。釣り人ならだれもが思うこと。だが釣りたい思いだけが先行して、釣りすぎると天然川魚は小型化し、早く成熟するため小さな卵を産むようになり、やがてはビッグサイズが姿を消す。県立富士湧水の里水族館(忍野村)が主催した講演会「釣りの科学」の中で、講師を務めた独立行政法人水産総合研究センター生態系保全グループ研究員の坪井潤一氏(農学博士)は指摘した。

 坪井氏は大きな魚がいる川とは、水量は必要条件で生息しやすい環境にあることという。生息しやすい川とは深い淵(ふち)があって、濁りにくく、産卵場所や稚魚が成育する分流があり、餌が豊富なこと。しかしこうした魚に恵まれた河川には釣り人が多く入る。魚族界では大きな魚から釣られていく。釣りすぎると、渓流魚では必然的に魚は小さくなり、残った魚の成熟が早まる。すると卵の粒が小型化するとともに、警戒心が強い魚の割合が高まり、餌を食べず代謝率の低い魚が増える。「釣り人が魚を進化させてしまう」と話す。アユの友釣りでも縄張り行動が強い大型アユから釣られ、次第に釣れなくなっていく。

 釣りが引き起こす魚の進化とは、坪井氏はアマゴを例に釣りすぎると30センチを超える大型の遺伝子を持つ魚がいなくなり、小さなアマゴだけが生息するようになることという。

 30年ほど前から国内でも、釣ったら放す“キャッチ&リリース”が注目されているが、まだまだ釣った魚を大小に関係なく持ち帰る釣り人が多い。坪井氏はこのままでは恵まれた河川環境の中でも魚の小型化が進むと指摘し、その対策として大型魚はリリースすることをすすめる。大型魚の遺伝子を持つ魚が生息し続けると遺伝子が引き継がれ、常に大型魚がいる河川となる。富士川水系だとアマゴなら30センチを超える大型を釣ったら、記念に写真を撮り川に戻す。魚を持ち帰りたかったら20〜25センチの中間サイズのみとすることで大型魚が生息する河川を守ることができるとした。