東京新聞: 農薬や殺虫剤などの化学薬品の乱用は、どれだけ恐ろしい影響…:社説・コラム(TOKYO Web)

沈黙の春、科学者を自称する人なら知っているだろう。
人間が自然を征服あるいは管理しようとする愚かさ。
どうしても歴史は繰り返すものだろうか。
愚かさを学ばないのは人類だけなのかもしれませんね。

以下記事
農薬や殺虫剤などの化学薬品の乱用は、どれだけ恐ろしい影響を自然界に与えているのか。世界で初めて告発した米国の生物学者レイチェル・カーソンは、花粉交配が途切れる「実りなき秋」にも警鐘を鳴らしていた▼「人工栽培一点ばりで化学薬品をまき、垣根や草をとりはらってしまえば、授粉昆虫はもはや逃げかくれるところもなく、生命と生命を結びつけている糸がたち切られてしまうだろう」(『沈黙の春』)▼農産物の花粉交配を担うミツバチは、一九九〇年代から大量死したり、群れごと姿を消したりするようになった。二〇〇七年春までに北半球では四分の一のミツバチが失踪した。「蜂群崩壊症候群(CCD)」である▼農薬、ウイルス、ダニ…。複数の原因が挙がる中、注目すべき実験結果がまとまった。金沢大学の山田敏郎教授らのチームによると、ネオニコチノイド(ネオニコ)系の農薬をミツバチに摂取させると、比較的低濃度でも巣箱からいなくなり、群れが消えるCCDに似た現象が起こるという▼農薬メーカーは「科学的根拠が明らかでない」と否定的のようだ。国内の動きは鈍いが、欧州連合ではすでにネオニコ系農薬の一部使用の禁止を決めている▼ミツバチは工業化された農業に組み込まれ、授粉のために酷使されてきた。身をもって伝えようとしているメッセージに耳を澄ませたい。


沈黙の春 (新潮文庫)
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