不愉快な現実 孫崎享 講談社現代新書 2012年3月
図書館本
大部分を現在の中国との関係で書かれている。
「日米同盟の正体」でも書かれていたと思うが、アメリカの外交・軍事戦略からみた世界の流れを日本という小国(にならざるを得ない)はどの様に生き延びるのかを考えさせられる。孫崎さんの論に対立する論を是非とも文字として読んでみたいと思う。もちろん、一次情報としてのテキストを。根拠無き日本優越世論の中で日本が沈んで行くのだろう。
感情的に騒いでも、世界の中ではまったく相手にされない外交の世界で、中国のGDPがアメリカを超える時、そして中国の軍事力がアメリカを超える時、そんなシミュレーションを日本は持っているのだろうか?最近安倍総理がオバマ大統領と首脳会談を行った。日米同盟と名のもとで今後日本はどの様にアジアまた世界に向かい合うのか。
多くの方に読まれて、議論されるべき内容満載な一冊だと思う。
備忘録的メモ
中国は米国を追いぬけないと見なしている日本が正しいのか?(冷静に論ずる本が無い)
経済では中国の2020年が節目、軍事では既に相当な勢力保持
福沢諭吉の「脱亜細亜論」に見る日本人の優越感(南アにおける準白人、G7への参加)
地政学の中枢は軍事から経済へ(超大国間では戦争が出来にくい時代)
米国の輸出で見れば日本より中国が重要
クリントン国務長官にとって普天間の辺野古移転は不動産屋の様な問題で、知的刺激が無い、中国要人との会話は世界戦略をともに語れる知的刺激(アメリカ学者)
アメリカの東アジア戦略で最も重要なのは中国(ダレス回顧録等)
中国共産党は国内支配の統治機構であり、国外に輸出するものではない(ソ連と異なる)
米中関係が21世紀を形作る、したがって米中関係は世界で最も重要な関係である(オバマ、2009年11月)
オフショワーバランス(米国は、米国の利益のために、これまで以上に日本を軍事的に利用する方針を決めたということ)
米国の東アジア政策はアミテージ、グリーン、ナイらの対日関係者の考えだけでは形成されない。
米国の4つの戦略の中で揺れる 1.伝統的な日米関係重視、2.米中2大大国が世界を調整、3.米国は部分的な撤退を図るが、その分を同盟国で穴埋めさせ、共通の敵に当たらせる、4.関係国で国際的枠組みを作る
BIS規制による日本の銀行の衰退(自己資本率問題)
尖閣問題、竹島問題における相手国の主義主張を殆ど知らない日本人 (尖閣棚上げ論する知らない)尖閣:15世紀中国の歴史的文献、竹島:12世紀からの文書等
輸出依存の中国経済においての軍事行動の与える影響を中国は認識している
中国が尖閣諸島を占拠しても米軍は出てこない。(モンデール元駐日大使の発言等、米国の立場は尖閣諸島の主権は係争中、日本の管理権の下にある)
中国の譲歩し成立した「棚上げ」合意を日本側から破棄するのはあまりに愚か(前原外務大臣発言(日本は同意していない)は憂うべき事態)
中国は民主主義体制ではないと批判する人々は日本と中国とどちらの政策が公共の利益のために行使されているかを問えばよい
NATOはロシアへの脅威ではない。(2010年すでにヨーロッパはロシアを敵とみなしていない)ロシアはもはやNATOへの脅威ではないと同意語
ポツダム宣言とサンフランシスコ条約 国後・択捉は日本領ではない、ことを出発点にすべき
小勢なのに強気ばかりでいるのは、大部隊の捕虜になるだけである。
TOWS分析は、T脅威、O機会、W弱 み、S強みの要素による戦略構築
日本固有の領土を守るという条件でなければ終戦はしないと主張した人はいない、領土問題より国際社会への参加を重視した
紛争が生じたときに、勝利という概念は、敵対する者との関係でなく、自分自身のもつ価値体系との関係で意味を持つ、ことが理解できるかどうかが極めて重要(第二次世界大戦でのドイツの選択、尖閣問題にたいする、田中―周恩来会談)
リアリズムから複合的相互依存関係へ
日本での他者への関心の極端な低さ。日本の新聞での国際面記事の貧弱さ
相手の主張を知り、自分の言い分との間で客観的理解、不要な摩擦を避ける
棚上げ方式が日本に有利であるという論理を理解できなくなった。
平和的解決を思考する者同士の連携を図る。国際政治で強く望まれる。
ドイツーフランスでの確執克服例(石炭、鉄鋼共同体)
東アジア共同体の可能性(米国はそれを望んでいない)潰された鳩山氏(沖縄、中国重視)
欧州共同体とASEANは米国後押し
おわりに、状況として
1. 日本の隣国中国は経済・軍事両面で米国と肩を並べる大国になる。
2. 米国は中国を東アジアで最も重要な国と位置づける
3. 日本の防衛支出と中国の国防費支出との差は10対1以上に拡大する。
4. 軍事力が米中接近した中で、米国が日本を守るために中国と軍事的に対決することはない
米国の情報関係者との「犬死に」論の話のなかで米国人は「ノルマンディへ行け。そして墓標を見ろ。多くの戦士は崖をよじ登った。上から機関銃を撃ってくる。兵士は登るだけで精一杯で撃ち返すことすらできない。ノルマンディはその人たちの墓標である。しかし、犬死にと見られる行為の積み重ねの上に、誰かが登りきった。そして勝利を得た」
孫崎氏は最後に書く「この本も犬死にの一つかもしれない」と。
目次
第1章 中国が超大国として米国を抜くか
今日の国際政治における軍事力の重要性/米国の輸出で見れば、中国が日本より重要/金融界で進む米中対話/ミサイル防衛は機能しない etc.
第2章 東アジアに対する米国戦略の選択
第一の選択──伝統的な日米関係を重視/第二の選択──米中二大大国が世界を調整/G2構想に慎重な中国/G2構想と日本の地位低下/第三の選択──オフショアー・バランシング/第四の選択──関係国で国際的枠組みの設立etc.
第3章 日米同盟は日本に繁栄をもたらしたか
日本経済が米国にとって最大の脅威だった時代/日本の銀行はなぜ世界のトップの座から落ちたのか/米中の成長と日本の低成長 etc.
第4章 中国の軍事戦略
中国は大中華帝国の再興を望んでいるのか/中国学者の説く中国の戦略/尖閣諸島問題を米国国防省はどう見たか/空母開発の狙い etc.
第5章 日本には中国との紛争を軍事的に解決する手段はない
中国が尖閣諸島を占拠しても、米軍は出てこない/中国の核兵器に対し米国の「核の傘」はない/尖閣諸島の「棚上げ」と日本の国益 etc.
第6章 中国が抱える課題
中国が台湾を攻撃した時、米軍はどうする?/南沙諸島とASEAN諸国/中国がGDPで世界一になっても国民は豊かではない/中国は民主化するか etc.
第7章 ロシア・北朝鮮にどう対応するか
プーチン時代の終わりの始まり/北方領土問題でロシアが譲歩しない理由/まずは北方領土の呪縛を解くことから始まる/北朝鮮への対応とは etc.
第8章 戦略論で東アジアを考える
ノーベル賞受賞者の知恵から学ぶ/ゼロサムと非ゼロサム/紛争への五つのアプローチ/「リアリズム」から「複合的相互依存関係」へ etc.
第9章 日本の生きる道──平和的手段の模索
領土問題を武力紛争にしないための知恵/独仏がいまなぜ戦わないのか/ASEANの知恵に学ぶ/東アジア共同体の可能性/米国は東アジア共同体を望んでいない/実質的な複合的相互依存関係の促進へetc.

不愉快な現実 中国の大国化、米国の戦略転換 (講談社現代新書) [新書]
図書館本
大部分を現在の中国との関係で書かれている。
「日米同盟の正体」でも書かれていたと思うが、アメリカの外交・軍事戦略からみた世界の流れを日本という小国(にならざるを得ない)はどの様に生き延びるのかを考えさせられる。孫崎さんの論に対立する論を是非とも文字として読んでみたいと思う。もちろん、一次情報としてのテキストを。根拠無き日本優越世論の中で日本が沈んで行くのだろう。
感情的に騒いでも、世界の中ではまったく相手にされない外交の世界で、中国のGDPがアメリカを超える時、そして中国の軍事力がアメリカを超える時、そんなシミュレーションを日本は持っているのだろうか?最近安倍総理がオバマ大統領と首脳会談を行った。日米同盟と名のもとで今後日本はどの様にアジアまた世界に向かい合うのか。
多くの方に読まれて、議論されるべき内容満載な一冊だと思う。
備忘録的メモ
中国は米国を追いぬけないと見なしている日本が正しいのか?(冷静に論ずる本が無い)
経済では中国の2020年が節目、軍事では既に相当な勢力保持
福沢諭吉の「脱亜細亜論」に見る日本人の優越感(南アにおける準白人、G7への参加)
地政学の中枢は軍事から経済へ(超大国間では戦争が出来にくい時代)
米国の輸出で見れば日本より中国が重要
クリントン国務長官にとって普天間の辺野古移転は不動産屋の様な問題で、知的刺激が無い、中国要人との会話は世界戦略をともに語れる知的刺激(アメリカ学者)
アメリカの東アジア戦略で最も重要なのは中国(ダレス回顧録等)
中国共産党は国内支配の統治機構であり、国外に輸出するものではない(ソ連と異なる)
米中関係が21世紀を形作る、したがって米中関係は世界で最も重要な関係である(オバマ、2009年11月)
オフショワーバランス(米国は、米国の利益のために、これまで以上に日本を軍事的に利用する方針を決めたということ)
米国の東アジア政策はアミテージ、グリーン、ナイらの対日関係者の考えだけでは形成されない。
米国の4つの戦略の中で揺れる 1.伝統的な日米関係重視、2.米中2大大国が世界を調整、3.米国は部分的な撤退を図るが、その分を同盟国で穴埋めさせ、共通の敵に当たらせる、4.関係国で国際的枠組みを作る
BIS規制による日本の銀行の衰退(自己資本率問題)
尖閣問題、竹島問題における相手国の主義主張を殆ど知らない日本人 (尖閣棚上げ論する知らない)尖閣:15世紀中国の歴史的文献、竹島:12世紀からの文書等
輸出依存の中国経済においての軍事行動の与える影響を中国は認識している
中国が尖閣諸島を占拠しても米軍は出てこない。(モンデール元駐日大使の発言等、米国の立場は尖閣諸島の主権は係争中、日本の管理権の下にある)
中国の譲歩し成立した「棚上げ」合意を日本側から破棄するのはあまりに愚か(前原外務大臣発言(日本は同意していない)は憂うべき事態)
中国は民主主義体制ではないと批判する人々は日本と中国とどちらの政策が公共の利益のために行使されているかを問えばよい
NATOはロシアへの脅威ではない。(2010年すでにヨーロッパはロシアを敵とみなしていない)ロシアはもはやNATOへの脅威ではないと同意語
ポツダム宣言とサンフランシスコ条約 国後・択捉は日本領ではない、ことを出発点にすべき
小勢なのに強気ばかりでいるのは、大部隊の捕虜になるだけである。
TOWS分析は、T脅威、O機会、W弱 み、S強みの要素による戦略構築
日本固有の領土を守るという条件でなければ終戦はしないと主張した人はいない、領土問題より国際社会への参加を重視した
紛争が生じたときに、勝利という概念は、敵対する者との関係でなく、自分自身のもつ価値体系との関係で意味を持つ、ことが理解できるかどうかが極めて重要(第二次世界大戦でのドイツの選択、尖閣問題にたいする、田中―周恩来会談)
リアリズムから複合的相互依存関係へ
日本での他者への関心の極端な低さ。日本の新聞での国際面記事の貧弱さ
相手の主張を知り、自分の言い分との間で客観的理解、不要な摩擦を避ける
棚上げ方式が日本に有利であるという論理を理解できなくなった。
平和的解決を思考する者同士の連携を図る。国際政治で強く望まれる。
ドイツーフランスでの確執克服例(石炭、鉄鋼共同体)
東アジア共同体の可能性(米国はそれを望んでいない)潰された鳩山氏(沖縄、中国重視)
欧州共同体とASEANは米国後押し
おわりに、状況として
1. 日本の隣国中国は経済・軍事両面で米国と肩を並べる大国になる。
2. 米国は中国を東アジアで最も重要な国と位置づける
3. 日本の防衛支出と中国の国防費支出との差は10対1以上に拡大する。
4. 軍事力が米中接近した中で、米国が日本を守るために中国と軍事的に対決することはない
米国の情報関係者との「犬死に」論の話のなかで米国人は「ノルマンディへ行け。そして墓標を見ろ。多くの戦士は崖をよじ登った。上から機関銃を撃ってくる。兵士は登るだけで精一杯で撃ち返すことすらできない。ノルマンディはその人たちの墓標である。しかし、犬死にと見られる行為の積み重ねの上に、誰かが登りきった。そして勝利を得た」
孫崎氏は最後に書く「この本も犬死にの一つかもしれない」と。
目次
第1章 中国が超大国として米国を抜くか
今日の国際政治における軍事力の重要性/米国の輸出で見れば、中国が日本より重要/金融界で進む米中対話/ミサイル防衛は機能しない etc.
第2章 東アジアに対する米国戦略の選択
第一の選択──伝統的な日米関係を重視/第二の選択──米中二大大国が世界を調整/G2構想に慎重な中国/G2構想と日本の地位低下/第三の選択──オフショアー・バランシング/第四の選択──関係国で国際的枠組みの設立etc.
第3章 日米同盟は日本に繁栄をもたらしたか
日本経済が米国にとって最大の脅威だった時代/日本の銀行はなぜ世界のトップの座から落ちたのか/米中の成長と日本の低成長 etc.
第4章 中国の軍事戦略
中国は大中華帝国の再興を望んでいるのか/中国学者の説く中国の戦略/尖閣諸島問題を米国国防省はどう見たか/空母開発の狙い etc.
第5章 日本には中国との紛争を軍事的に解決する手段はない
中国が尖閣諸島を占拠しても、米軍は出てこない/中国の核兵器に対し米国の「核の傘」はない/尖閣諸島の「棚上げ」と日本の国益 etc.
第6章 中国が抱える課題
中国が台湾を攻撃した時、米軍はどうする?/南沙諸島とASEAN諸国/中国がGDPで世界一になっても国民は豊かではない/中国は民主化するか etc.
第7章 ロシア・北朝鮮にどう対応するか
プーチン時代の終わりの始まり/北方領土問題でロシアが譲歩しない理由/まずは北方領土の呪縛を解くことから始まる/北朝鮮への対応とは etc.
第8章 戦略論で東アジアを考える
ノーベル賞受賞者の知恵から学ぶ/ゼロサムと非ゼロサム/紛争への五つのアプローチ/「リアリズム」から「複合的相互依存関係」へ etc.
第9章 日本の生きる道──平和的手段の模索
領土問題を武力紛争にしないための知恵/独仏がいまなぜ戦わないのか/ASEANの知恵に学ぶ/東アジア共同体の可能性/米国は東アジア共同体を望んでいない/実質的な複合的相互依存関係の促進へetc.

不愉快な現実 中国の大国化、米国の戦略転換 (講談社現代新書) [新書]
政治家として、どれほど愚かな行動だったか。そしてどれほど多くの日本人が、愚かにもそれに乗ったか。残念ながら衆愚という言葉があるとしか思えない出来事でした。