図書館本

リニアに関して最も新しい出版物の一冊であろう。著者の川島氏(1950-)が鉄道が大好きであろうことは想像出来る。ある意味、正直に現時点での問題点や解決されるべき点を指摘している。また山梨県の有力者のコネで実験線に乗車したりテレビ番組で便宜をはかられたことも正直に書かれている。ただ、自然環境等の配慮はまったく無く、電磁波問題はJR東海の発表をそのまま書かれていると思う。

備忘録的メモ
蛇行動が激しい(リニア実験線に乗車しての感想、営業では良くなるであろうと)
日本の新幹線規格は世界的に古い、トンネル断面積が63.5平米しかない(すれ違い時のショックおよび微気圧波が大きい、フランスは100平米)
微気圧波問題が解決するか心配
リニアの乗車定員950人程度(立ち席禁止)N700系16両編成に比べて25%少ない
車窓はまったく楽しむ事が出来ない可能性(地下、トンネル、電磁波防御のシールド等)
東京―大阪開業予定の2047年 名古屋―大阪間は国の負担で建設を。
鉄道建設に口を挟んでも票にならない(そんなことはないのでは?)
乗換での時間ロス問題、品川駅のリニア停車場所の問題―新幹線との乗り継ぎ
リニアの最大の目的は東京、名古屋、大阪を結ぶというもので、中間駅からの利用が増えてしまうと、この目的が果たせなくなってしまう。結局、中間駅からの利用は出来るだけ少なくする必要があり、山梨県駅や長野県駅は不便な位置に駅を設置しようとしているのである。
品川―名古屋間が開通した場合、東京駅から名古屋に向かう人は品川でリニアに乗り換えるか?のぞみとリニアの差は25分 値段は現状不明(おそらくのぞみより高額)
橋本駅開業の場合、名古屋まではやはりのぞみの方が便利(大阪に行く場合は躊躇なくのぞみ、名古屋での乗り換えがあるため)
甲府新駅開業 新宿駅にも東京駅にも「あずさ」のほうが有利、八王子も同じ。橋本駅まではリニア有利(当たり前だけど)
いずれにしても1時間に1本止まるか止まらない中間駅であり仮に中間駅すべてに止まると現在メディアで言われている名古屋まで、あるいは品川までの時間は大幅に増える事が想定されるようだ。
巻末の方では1980年代の本の様に全国リニア構想、あるいは韓国ソウルへのリニア連結などが語られる、夢を見るのは楽しい、しかしこれからの日本の低成長あるいはマイナス成長予測、人口激減社会で果たして夢を見る余裕が今後あるのかどうか。

徹底詳解 リニア中央新幹線のすべて
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