図書館本

国境問題は領土問題でもありますよね。
竹島、尖閣、北方領土、学校では日本固有の領土なんて教わった様な記憶があります。
戦争で取ったり取られたりする国土、初めて見つけた人に所有権(領有権)があるとする歴史。

孫崎さんは、外交文書から関係国の思惑や歴史を紐解いて、外交的方法で平和裏に国境問題を解決していこうとする態度だと思う。

自分自身がいかに領土問題に疎かったかが分かると共に、領土問題を利用した多国間の駆け引きが日々繰り返されて居る事が良くわかる。

アメリカにとっては日本とロシア、日本と韓国、そして日本と中国との間に領土問題が存在することが戦略的には大きなメリットがある事は間違いないだろう。

争いで陣地を取る時代ではない現在、戦争という仕事、武器という商品、そんな無意味な歴史を繰り返さないためにも当該国がどのように領土を考えているかを知ることを大切だと教えられる。

尖閣問題における「棚上げ」と言うテキストは確かに中国側は使っていない、しかし、明らかに両国の将来を見据えて日本も中国も「先送り」しようという合意があったであろうことは外交文書は政治家の記述で分かる。
この「先送り(棚上げ)」を日本・中国ともに弱体化していることが問題なのだろう。
著者はこの「棚上げ廃止」を中国軍部は歓迎するだろうと指摘する。
GDP世界2位の中国が今後どの様な態度に出るのか、ただただ対立軸として日本は進むのか?まさに戦略的互恵関係を進化、深化させる外交が必要なのだと思うのである。

少なくとも日本がいつから日本であったかという歴史認識もしっかり知っておかねばなるまい。
いつから祖先が自分は日本人であると認識したのか。

日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 (ちくま新書 905)
日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 (ちくま新書 905)