安全性の死角 JR東海と新幹線 吉原公一郎 風濤社 1995

紀伊国屋のwebでは、こんな紹介がされています。
“のぞみ号”の故障、トラブルから、構造的欠陥を徹底検証する。
“シンデレラ・エクスプレス号”にみられる経営体質、リニア山梨実験線でのゼネコン・政治家との癒着の構造、労務政策、はては経営トップの女性スキャンダルまで、“安全性”を阻害している条件を追求する。

さて備忘録メモですが。
国鉄から民営化したJR その背後にはる労使問題、特に組合と管理側とのゴタゴタが前半部分で綴られていて、時代時代で起こった事故、事件(列車妨害、置き針等)を読み解きます。
今日はリニア新幹線とJR東海なので後半部分の方をメインにメモ
「のぞみ」はひかり、こだま型車両に比べ約25%軽い。のぞみとひかりがすれ違うと1平方メートルあたり400k、のぞみ同士だと600kの圧力がお互いにかかる。そのため、のぞみは大きな揺れを起こす。
高速化と軽量化に伴う剛性の低下を名大の太田教授が指摘 300系
のぞみの運行開始で締結ボルトの破断続出
ひかり291号の警報無視しての三島までの暴走と1989年東電福島第2原発3号機の再循環ポンプ振動大の警報ブザー無視しし運転、定検で密かにポンプ交換(安全神話の崩壊を恐れた結果と指摘、これが3.11に繋がったのでしょうね)
JR東海副社長の葛西氏(当時)と自民党三塚代議士との関係
JR東海内で組合潰し(1991)の実態
疑惑のリニア新幹線 山梨実験線 総工費 3040(3600?)億円(JR東海1860億、用地買収92年(94年開始予定)で26.7% 土木工事費2630億円)
埼玉大佐藤教授「JRリニア技術には危険が多すぎる(92年9月22日号エコノミスト)、大きい消費エネルギー。中央新幹線は在来型に転換すべき」
中央新幹線パンフレット(JR作成)「数年先のことは言えない。リニアなら最高だが、経済性もクリアーにしないと」
JR東海の内部文章にみる資金調達と債務返済問題点「JR東海は、安全確保に必要な設備の維持更新投資等を犠牲にしたとしても債務返済資金を確保出来ない、というまさに深刻な事態を迎えることになる」2007-2016度の10年間では要調達額は自己資金の実に2.2倍に達するとの事
自己資本率;私鉄大手 28.1%、日本の平均20.0%、JR東海6.1%
JR東海名古屋駅のツインタワービル計画 1割縮小 地上60階から53階に。(新幹線利用の落ち込みで経常利益減少、リニア実験線、品川駅建設で重圧)
政府・運輸省 1990年度152億、91年度776億、92年度981億、93年649億を工事に(2658億)
スキャンダル? JR東海のヘリコプター購入(太陽工業と三塚氏がヘリ利用、三塚氏長男との関連)
JR東海葛西氏女性スキャンダル;1991年9月13日号FOCUS買占め(自主的まとめ買い)
週刊宝石は電通を介して圧力、キヨスクからの強い申し入れ。その結果記事没(雑誌「創」11月号)その他、葛西氏告発事案等


目次
プロローグ 事故・ひとつの想定
1 なおざりにされる?故障・トラブルの原因追及
2 東海道新幹線が危ない
3 あわや脱線・転覆『シンデレラ・エクスプレス号』
4 自ら招いたJR東海の脆弱な経営基盤
5 スキャンダルは「エクスプレス」に乗って

安全性の死角―JR東海と新幹線

安全性の死角