超電導が鉄道を変える―リニアモーターカー・マグレブ 鉄道総合技術研究所浮上式鉄道開発推進本部 清文社 1988
1988年現在でのリニア新幹線技術の状況。技術開発者が書いた一般書。
現在2013年であるが、山梨県における実験線でのデータ公開は非常に乏しく住民やリニア反対の立場の方に十分な説明が行われていない。もちろん山梨県の行政サイドはJR東海発表のデータのみを公表して自らの調査等は行っていないとの事。
鉄道総合技術研究所は、日本国有鉄道の分割・民営化に先立ち、1986年(昭和61年)12月10日に運輸大臣(現、国土交通大臣)の許可を得て設立さ れ、1987年(昭和62年)4月1日に、JR各社の発足と同時に、日本国有鉄道が行っていた研究開発を承継する法人として本格的な事業活動を開始しまし た。また、2011年(平成23年)4月1日には公益財団法人への移行を行っています。(HPより)よってリニア新幹線はJR東海単独事業ではなく多額の国費(税金)を使った事業である。
さて、本書であるが、超電導の歴史や浮上推進のメカニズム等の説明が主である。
技術者が書いているのだろう、問題点も率直に指摘している。すなわち電磁波問題(200ガウスによる人体や機器への影響)や高速での騒音(トンネル進入時やすれ違い時)等である。残念ながら、果たしてこれらが解決したか、現時点では単に「ただちに人体に影響が無い」程度の説明しかされていない。すでに本書が出版されて20年以上が経過しているのにである。
またリニア技術を用いた交通機関としての位置づけ等を海外での技術開発状況も説明しているが、残念ながら西ドイツはトランスピッドを開発断念、その他はHSST(日航等が開発)などがあるが、どれも実用的運用をされているところは無いのが現状である。
技術としての進歩は他の技術同様に進んではいるのだろう、しかし、その技術が社会に本当に必要であるのか?環境アクセスメントに関する考察は?電力問題は?電磁波の長期・短期影響、また電磁波感受性の個人差等は?等の議論は全く行われていない。
リニア新幹線が果たして本当に夢の技術で人々を幸福に導くのだろうか、そこに技術者の本当の思想哲学が必要なのではないかと思わざるを得ない一冊であった。
早い事が本当に重要なのか?リニア関連の他書でも良く指摘される「ゆとり社会」にリニア通勤が本当に必要なのか? 解答は案外簡単ではないだろうか。新幹線通勤が可能になって果たしてゆとり社会は実現したかと考えてみてはどうか。
超少子化超高齢化の世界トップランナーの日本に今、本当にリニア新幹線が必要なのか?
それを考えるのも技術者や科学者であるべきだと思うのである。
超電導が鉄道を変える―リニアモーターカー・マグレブ
1988年現在でのリニア新幹線技術の状況。技術開発者が書いた一般書。
現在2013年であるが、山梨県における実験線でのデータ公開は非常に乏しく住民やリニア反対の立場の方に十分な説明が行われていない。もちろん山梨県の行政サイドはJR東海発表のデータのみを公表して自らの調査等は行っていないとの事。
鉄道総合技術研究所は、日本国有鉄道の分割・民営化に先立ち、1986年(昭和61年)12月10日に運輸大臣(現、国土交通大臣)の許可を得て設立さ れ、1987年(昭和62年)4月1日に、JR各社の発足と同時に、日本国有鉄道が行っていた研究開発を承継する法人として本格的な事業活動を開始しまし た。また、2011年(平成23年)4月1日には公益財団法人への移行を行っています。(HPより)よってリニア新幹線はJR東海単独事業ではなく多額の国費(税金)を使った事業である。
さて、本書であるが、超電導の歴史や浮上推進のメカニズム等の説明が主である。
技術者が書いているのだろう、問題点も率直に指摘している。すなわち電磁波問題(200ガウスによる人体や機器への影響)や高速での騒音(トンネル進入時やすれ違い時)等である。残念ながら、果たしてこれらが解決したか、現時点では単に「ただちに人体に影響が無い」程度の説明しかされていない。すでに本書が出版されて20年以上が経過しているのにである。
またリニア技術を用いた交通機関としての位置づけ等を海外での技術開発状況も説明しているが、残念ながら西ドイツはトランスピッドを開発断念、その他はHSST(日航等が開発)などがあるが、どれも実用的運用をされているところは無いのが現状である。
技術としての進歩は他の技術同様に進んではいるのだろう、しかし、その技術が社会に本当に必要であるのか?環境アクセスメントに関する考察は?電力問題は?電磁波の長期・短期影響、また電磁波感受性の個人差等は?等の議論は全く行われていない。
リニア新幹線が果たして本当に夢の技術で人々を幸福に導くのだろうか、そこに技術者の本当の思想哲学が必要なのではないかと思わざるを得ない一冊であった。
早い事が本当に重要なのか?リニア関連の他書でも良く指摘される「ゆとり社会」にリニア通勤が本当に必要なのか? 解答は案外簡単ではないだろうか。新幹線通勤が可能になって果たしてゆとり社会は実現したかと考えてみてはどうか。
超少子化超高齢化の世界トップランナーの日本に今、本当にリニア新幹線が必要なのか?
それを考えるのも技術者や科学者であるべきだと思うのである。
超電導が鉄道を変える―リニアモーターカー・マグレブ