図書館本

あまり普通の人はお世話にならない、なりたくない裁判とか捜査という世界。
しかし、検察とは何かを知っておいて損はないのだろうと思った一冊です。

特に、昨今の検察不祥事や、佐藤優さんが指摘した「国策捜査」という文脈から読み取れるであろう
権力と体制維持の成り立ち。

さらに、孫崎亨さんの著作等と合わせて考えると、既成メディアの状況と同じく、そこには公平、中立、客観というテクストは見つけることが出来ないように思います。

無罪と気づいていながら起訴し、無罪と気づいていながら公判行う現実があることを筆者は吐露しています。
さらに作文調書、誘導尋問的自白強要、完全ならピラミッド型のヒエラルキー。(上から下への責任追及リレーなんていうテキストにその姿が見える)

もちろん、利他的な優秀な検察職員も多いのだろう、どんな組織にも問題は存在するだろう、しかし、人が人を裁くという職業において、職業に貴賤無しといわれても、やはり公平、中立、客観な取調べを期待したいものだ。


著者は最終的に検事を辞めるのだが、問題を起こした佐賀地検を離れたあとの記述にこんなのがある
”佐賀地検は離れてから3週間ほど経っていた。その間どんな捜査があったのか、僕は何もしらない”
あまりに無責任ではないのか?
ご自身でも反省を沢山しているが、結局は自分自身の弱さと言い訳が多分にあることは読後のモヤモヤ感に繋がる。もちろん、巨大な組織の中での一員としての内部告発としての勇気は評価するが。

ちなみに本書のタイトルは岩上安身さんが考えたとの事。

検事失格
検事失格