図書館本

外交文書という1次資料を入念に調査することによって見えてきた事実。
原発導入の裏にある日本核武装の周到な準備が明らかになる。


孫崎さんの本(日米同盟の正体)を少し読んでおりますが、日本の政治家が首相に成るた
めにはアメリカの意向には逆らえないとの指摘がありました。そして、日本の戦略無き
外交(ある意味謀略学が日本にはないと指摘してますよね)の結果としてのプルトニウ
ムだらけの日本になったこと。
そして日米のやり取りが凄い、ヒロシマに原発建設構想、さらに沖縄原発の可能性があったこと。
問題だらけだった東海原発(イギリス製)をめぐる駆け引き。
GEがソ連にウラン濃縮を委託。
日本のメディアコントロールによる安全神話(これは他書でも明らか)
福島原発がターンキー契約だったのは東海原発の問題が大きい。
田中角栄氏の資源外交がアメリカという虎の尾を踏んだわけではなかった。
単体抽出法(混合抽出法よりウランとプルトニウム抽出が効果的)の合意文書は日本外交の勝利by有馬氏
現在の情況で、日本が核武装すべきかどうかもわからない。中略 だが、いえることは、それを使うにせよ、使わないにせよ、カードは、持っておく必要があるということだby 有馬氏


有馬さんの本で欠けている点は、まさに、科学者と技術者の関与の一次資料でしょうか。
原発も核兵器も科学者抜きでは絶対不可能です。湯川秀樹はラッセル・アインシュタイ
ン宣言に署名していますが、その後は核廃絶ではなく軍縮に流れが変わってしまった
と、唐木順三が著書の中で指摘しています。また南極探検の西堀栄三郎なども原子力船
に関与していたりします。

どうして、一流の物理学者等が原発を許し、さらに核武装へ向かう日本を許したのか。
九大の吉岡先生などがおそらくご存知なのでしょうが、僕は不勉強でわかりません。
科学の負の遺産という歴史がここにあるのだと思います。

原発と原爆 「日・米・英」核武装の暗闘 (文春新書)
原発と原爆 「日・米・英」核武装の暗闘 (文春新書)