図書館本

記者の皆さんは正直にご自身のお気もちを吐露しているのだろう。

もちろん涙がこみ上げる文章が沢山あります。それは目次から話しの流れが読み取れます。
第一章 津波 187pまで
第二章 原発 221pまで
第三章 官邸・東電など 263pまで
第四章 東京、千葉そして各地で 309pまで
ほとんどが被災地の取材です。確かに本のタイトルからは想定されることでしょう。
そして、記者が誰のために、何のために書くのかを肝に銘じたいと書く。もちろんその通りである。

また、こんな記述もある。官邸や民主党の政治家たちにも責任がある。政治家だけを窓口にした情報発信にこだわった結果、プロの官僚の口をつぐませ、混乱に拍車をかけたことは間違いない。今回はあきらかに、情報の交錯よりも情報不足による混乱の方が大きかった。政府の事故調査・検証委員会には、こうした部分にもメスをいれて欲しいと強く思っている。メディアにも、課題が残った。取材源に情報が集中する中で、その取材源が24時間、執務室から一歩も出ない場合、どのように情報を収集するのか。今後、事故だけでなく核テロなどもいつ起こるかわからない。情報不足のなか、見えない放射線に国民の不安は加速度的に広がる。今回の教訓を今度どのように生かすかが我々に突き付けられた宿題だ。(科学部記者)
この程度の意識の科学部の記者がいることが情けない。
また別の現科学部記者は正直にこのように吐露している。原発銀座と称される福井県で5年間、原子力の取材を担当してきた。長く取材を続ける間、知らずのうちに電力会社が説明する安全対策を鵜呑みにしていたのだと思いしらされた、と。
未だに故正力オーナーの力が働き巨大広告主にはモノ言えぬ体質なのだろう。新聞という媒体の作り出した安全神話、原発推進にたいする反省はまったく見られない本書であった。

また、震災報道の問題点は元朝日新聞の烏賀陽 弘道氏の「報道の脳死 」(新潮新書)2012を併せて読んでみると既存新聞社の内情が分かると思います。

記者は何を見たのか - 3.11東日本大震災
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