個人的に漂白だとか、放浪だとかという文脈に入り込むのが昔から好きなのでサンカだとか木地師だとか炭焼きだとか興味があって、それに関係する本をたまに読みたくなる。
そうした中で、どうしても不思議(嫌に)思うのが階級社会だとか、身分差別と言われる枠組みである。
そこには権威だとか権力だとかが当然関与するのだろうが、本質的な人間の弱さと狡さがあるように思えてならない。

生まれながらにして区別され、あるいは差別されてきた人々が世界中に存在する。
日本においても未だに出自を差別の対象にしている例がある。
さらに差別されている側が更なる差別を作り出してきた歴史もある。
本書は多くの資料を読み込み、江戸時代以降に焦点をあて(もちろん中正の穢れの問題も書かれている)歴史的な考証を行っている。

本書をすべて理解する器量も才能も小生にはないので、間違った理解をしている可能性もあるが
いくつか備忘録的メモ
徳川家15代のうち12人は側室の子供であり、またその側室の出自は重要ではない。
別火と別器(穢れを共有しない、穢れの伝播性)
差別戒名(仏教者が差別側に)や居住地制限
身分、階級を越えての婚姻事例
被差別住民の中の裕福者
立ち上がる被差別民(武州鼻緒騒動、岡山藩の渋染一揆等)
明治政府が廃止した呼称制度、しかし民衆側の反発

身分差別社会の真実 (講談社現代新書)
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