新聞・テレビはなぜ平気で「ウソ」をつくのか 上杉隆 PHP新書 2012

これまでも上杉さんは記者クラブの問題点を指摘してきた、また自由報道協会としても、畠山さんらと日本の既成ジャーナリズムの問題を明らかにしてきた。
今回はその最後通牒にもあたるのであろうか、「官報複合体」(政府と既成報道組織)を事例をもとに綴っている。

多くの方が3.11以降の政府発表と既成メディアから発表される情報の信憑性を疑い、また多くのウソ(時間の経過に伴いウソがばれる)を実感したことだろう。

「官報複合体」の癒着の現実を記者クラブという既得権益から考えれば非常に容易に理解できる。新聞社間(記者間)での取材メモの共有。そのメモを使って記事を作るのは別人であること。官と報道での知らせる権利と知らさない権利ともいうべき癒着構造。

また震災後の報道でも分かるように、既成メディアは政府、東電発表を鵜呑みにして真実を報道しなかった(アメリカ原子力委員会の議事録からも明らか)。

メディア報道被害者の例、小沢一郎(もっとも早くから会見の自由化を主張)、鉢呂元大臣(作られたオフレコ放射能つけちゃうぞ事件)、鈴木宗男事件。
記者クラブと政治家、官僚の癒着は1980年代からと書かれているが、その点はおそらく上杉さんも当然ご存知だと思うが、読売新聞の渡辺氏が大野伴睦の回想録の一部を請け負った事の以前からあったのだろう(さらに、山崎豊子の運命の人でも同じ構造)。

新聞は正しいから○新聞の○○記者は正しいという時代にならないといけない。
選民思想と愚民思想の上に成り立っているのが既成メディアなのかもしれないと思った。

いずれにしても記者クラブを道連れに地獄に落ちる用意があるという上杉さんの今後の活躍を願うばかりである。



新聞・テレビはなぜ平気で「ウソ」をつくのか (PHP新書)
新聞・テレビはなぜ平気で「ウソ」をつくのか (PHP新書)
クチコミを見る