問題小説に掲載された7短編と書き下ろし1編

僕は樋口さんほどではないがフライフィッシングをちょっとだけ嗜む。
だから、樋口さんの筆で描かれる渓流に溶け込む事ができる。
「渓にて」はまさに、そんな短編だ。
福島の事が出てくるのであるが、2010年12月号が初出だと記載されている。
樋口さんが予言したのか、それとも単行本化で加筆したのだろうか。

本書の中に描かれるいくつかの短編は、放射能という糸で紡がれている。
地球最後の日、そんなテクストが脳裏に浮かぶのだ、人間という愚かな動物を
描きだしている。

勝谷誠彦が10年前に綴り、今年単行本化した「ディアスポラ」と本小説が共鳴し合っているように
思った。

標高二八〇〇米
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