図書館本

著者の森林や林業に対する熱い気持ちは分かるのだが、
序章から「今や日本の国土は、有史以後もっとも森林面積は多い」
なんて書かれると、?マークが頭の中に一杯浮かんでくるわけです。
割り箸本の時もそうでしたが、1次情報や引用先が表示されていないので本当ですか?となるわけです。
ちなみに著者のHPでは「戦後の国民の努力は、有史以来再校の森林面積を生み出した」 再校は再考が必要かと思うのですが。

自らの足で歩き取材する手法は素晴らしいと思う。そこから見えてくる問題点も指摘されている。
是非とも、梶山恵司「日本林業はよみがえる」を超える田中林業復興プランを見せてもらいたい。


目次 著者のHPより
第一章 かくして国産材は消えた

1、「安い外材」はどこにある?
 「安い外材に押されて」という嘘   木材価格は誰が決めるのか 
2、空前の木材バブルと「空気売り」 
 細い丸太の方が高い?  不合理な木材のビジネス慣行だらけの木材業界
3、外材が演出した役物の時代 
 外材輸入解禁の影響  美しい役物に活路を見出す
4、産地偽造と木材市場の囲い込み  
 木材の産地擬装問題  囲み込みと補助金が没落を招く
5、プレカットを推進したハウスメーカー 
 外材を用いたプレカット工法  残された和室に役物人気
6、消える和室、変わる構法
 木肌を見せない洋室の増加  建築主のニーズと林業界のずれ

第二章 森が変わる、林業が変わる

1、国産材時代の幕開けとなるのか 
 20世紀末からの世界的な木材需要の高まり  資源ナショナリズムと木材輸出制限
2、合板業界、国産材にシフトする
 合板業界が間伐材を活用  林野庁の「新流通・加工システム」登場
3、巨大製材工場と新生産システム
 日本最大の国産材製材所・協和木材  トーセングループ母船式木流システム
4、日吉町森林組合の挑戦  
 森林整備進める「森林プラン」  組織と意識の改革が森林組合を変える
5、機械化による大増産時代  
 驚異的な生産性誇る八木木材  「林業は儲かる」への転換

第三章 混迷する森の現場・街の現場

1、国産材時代の落とし穴 
 林業は立ち直れるのか  林業現場は機械化でどう変わるか  製材工場の大型化がもたらしたもの
2、木材価格が下がっても伐採が進む理由  
 国産材時代でも木材価格は上がらない  林業打ち止め伐採と官製伐採
3、林業従事者が結婚退職する理由 
 続かない新規就業者たち  進まない改革と意識のずれ  Iターン者の感性
4、「外貨が森を奪う」の陰で
 「外資が日本の山林を買収」の真偽  噂話を元に蠢く山林ブローカー  森林の境界線と所有名義問題
5、割り箸の激減が意味するもの 
 割り箸こそ林業のシンボル  樹脂箸の普及と割り箸批判
6、バイオマス・エネルギーの幻想 
 バイオマス・エネルギーが林業を救う?  袋小路に陥った日本のバイオマス利用

第四章 森が街に向かう道  

1、伐採ガイドラインと「学び直し」 
 ひむか維森の会による「伐採搬出ガイドライン」  鹿児島大学農学部の「学び直し」講座
2、長期伐採権制度で再造林を
 急速に増加する禿山  伐採と造林をセットにする「長期伐採権」  造林する伐採業者・佐藤木材
3、木材の本領は「見栄え」にあり
 人の官能に働きかける木材  木材が街の景観を変える
4、フェアウッドを求めて  
 ワイス・ワイスのグリーン・プロジェクト  森林認証制度の国際的な広がり  森林環境に配慮した家具・住宅づくり
5、森と街を結ぶ人々  
 伝統構法の家の設計コンペ  川上から川下までがバラバラな材業界  株式会社西粟倉村・森の学校の挑戦
 NPO法人サウンズウッズの木材コーディネーター

終章 美しい森から考える「大林業」  

 森林に関わるトータルな世界  森と山里への思いが林業に重なる  「森林・林業再生プラン」に抜け落ちたもの
森の美しさを見極める「子供心」

おわりに

参考文献

森林異変−日本の林業に未来はあるか (平凡社新書)
森林異変−日本の林業に未来はあるか (平凡社新書)
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