日本中枢の崩壊 古賀茂明 講談社 2011 5月
図書館本 やっと予約が回ってきました。

10月20日の講談社における講演会(USTREAM)

公務員改革という国益を考えた男の物語。
本書執筆時点では経産省職員であったが、2011年9月末に依願退職。
古賀さん(1955-)は一言で書けば、まさにエリート(麻布、東大、通産省)でしょう。
日本の経済発展を支えてきた通産(経産省)のキャリア職員であり、各省庁にも同窓や先輩、後輩が多数働いているだろう。そんな古賀さんが日本の将来を憂いて、私利私欲に囚われている同僚や政治家、企業を告発する。

備忘録的メモ
官僚の抵抗の凄まじい。原英史氏「官僚のレトリック」に詳しいらしい。
自民党多数派である守旧派と官僚との連合 対 渡辺大臣、原、金指の少数部隊
省庁による天下り斡旋禁止、年功序列の廃止、能力主義導入
人事院という中立公正な第三者機関というウソ(谷総裁の内閣会議ボイコット)
古賀さんは霞が関の「アルカイーダ」と呼ばれたそうだ。佐藤優さんのラスプーチンの様だね。
民間派遣の打診を断った古賀さんは、億単位の生涯賃金が減った。
霞が関官僚の感性の喪失(目は曇り、耳は遠くなり、現実を把握できない)そして、政治家やダメ企業の集まった団体(経団連?)の長老幹部の声ばかり聞く
構造的欠陥:縦割り、退官するまで同じ役所(出向等があるにせよ)
出世競争に負けた人の受け皿:無駄な独法、特殊法人、公益法人(キャリアだけでない、ノンキャリアもだね) そんな人達にお土産:補助金、企業に有利な規制 
年功序列の弊害:官庁では先輩の意見は絶対という不文律
霞が関文学:一元化と一体化の違い(一体化は完全に一緒にするわけではない)
インフラビジネスの危険性:組織としての決断力のなさ(IJPCの例)
天下り法人がドブに捨てた二千数百億円(NTTの株式売却等の資金でベンチャー支援、戻ってきたのは5%)
産業再生機構の成功、産業革新機構の危うさ
増税主義の悲劇、累積債務を減らすには消費税25%の世界、それを防ぐにはどうするか。
財務官僚は経済が分かっている?
TPPへの参加は必要、国内での改革の必要性
若者は社会保険料も税金を払うな:年金の賦課方式、増税は若者のためではない。
公務員の大幅削減、給与の民間以上のカット、天下り団体廃止。
生産性向上のためにはスクラップアンドビルド
構造改革は改革が足りなかった(セイフティーネットが不十分ではあった)
逆農地解放の断行(農家優遇の差別)農地転用での過去に遡る課税を。
現代の身分制度「官、農、高(高齢者)、小(中小企業経営者)」
無駄な産業政策がなくなれば公務員もかなり減らせる、出来ない公務員のリストラ
観光は未来のリーディング産業 中国人が日本で気にしながら別荘を買う時代。
壊す公共事業と作らない公共事業を

補論の投稿を止められた「東京電力の処理策」は是非国策としてもらいたいものです。


日本中枢の崩壊
日本中枢の崩壊
クチコミを見る