競争と公平感 大竹文雄 中公新書 2010
図書館本

非常に読みやすく、経済音痴な自分の疑問を分かりやすく解いてくれる。
新書ではあるが、知人には絶対勧めたい一冊である。
種々の研究者のデータを用い分析する、そして物事を決め付けない態度は読んでいて安心できるし、説得力を持つ。リーマンショック以降、経済の明るい話題は無いし、最近ではEUでのギリシャ危機、円高やTPPでの関税問題。普通に世界恐慌前夜的な舞台が着々と準備されているようにも思えてならない。

いつものように備忘録メモ
国による価値観の違い。国の責任か個人の責任か?
勤勉より運やコネを重要視する日本人(フランスも同様)不況の影響もあり
任期付き正社員の必要性
ウイキノミクスの政府での必要性(情報の公開とアイデアの募集)
市場競争が結局は格差の縮小に貢献すると考えない人が多い。日本
市場競争のメリットを最大限に生かし、デメリットを小さくするような規制や再分配政策を考えるという、市場競争に対する共通の価値観をもつべき。
出生時体重と成人後の経済状態の関係
日本全体での所得不平等化は高齢化が原因である
アメリカ:努力、学歴、才能。 日本:努力、運、学歴の順の価値観、だからアメリカ人はそれほど格差を感じない?(ただし、2011年秋のウォール街でのデモは大きな格差をアメリカ人が感じている)
特定の世代の政治力が強くなることを抑制することが必要(年金問題、介護保険等)
世代別の選挙制度や子供の数による投票権の付与等も考慮に値する
正社員の既得権益にはメスを入れる必要性がある。(解雇規制の緩和)


目次
プロローグ 人生と競争
I 競争嫌いの日本人
 1 市場経済にも国の役割にも期待しない?
 2 勤勉さよりも運やコネ?
 3 男と女、競争好きはどちら?
コラム1 薬指が長いと証券トレーダーに向いている?
 4 男の非正規
 5 政策の効果を知る方法
 6 市場経済のメリットは何か?
II 公平だと感じるのはどんな時ですか?
 1 「小さく産んで大きく育てる」は間違い?
 2 脳の仕組みと経済格差
 3 20分食べるのを我慢できたらもう一個
 4 夏休みの宿題はもうすませた?
コラム2 わかっているけど、やめられない
 5 天国や地獄を信じる人が多いと経済は成長する?
 6 格差を気にする国民と気にしない国民
 7 何をもって「貧困」とするか?
 8 「モノよりお金」が不況の原因
 9 有権者が高齢化すると困ること
III 働きやすさを考える
 1 正社員と非正規社員
 2 増えた祝日の功罪
 3 長時間労働の何が問題か?
コラム3 看護師の賃金と患者の死亡率
 4 最低賃金引き上げは所得格差を縮小するか?
 5 外国人労働者受け入れは日本人労働者の賃金を引き下げるか?
 6 目立つ税金と目立たない税金
エピローグ 経済学って役に立つの?
競争とルール あとがきにかえて

競争と公平感―市場経済の本当のメリット (中公新書)
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