知事抹殺 佐藤栄佐久 平凡社 2009
図書館本

本書は3.11震災の前に書かれている。
歴史にIfは無いと言われているが、もし佐藤知事への国策捜査そして逮捕が無ければフクシマの悲劇は起こらなかったと確信している人も多いと思う。そんな本書である。

もちろん、筆者自らが筆を取っているわけなので、すべてが客観的と判断するのは危険であるとは思うが、福島県をめぐる東電福島原発、あるいは道州制の議論を歴史的に考察する上では重要な一次資料となろう。

国策捜査に関して言えば、佐藤優さんや鈴木宗男さんの事件、ホリエモン事件、そして厚労省の村木局長の事件が思い浮かぶ。村木さんの事件では検事が逮捕されるというまさに三権分立の根本を揺るがすようなお粗末な結末となったのは記憶に新しい。
佐藤前知事の事件もまさに、検察が筋書きを作り、それに沿って事件を作り上げたとしか判断のしようが無い。それは実質無罪と言われる不可思議な判決からも理解出来る。

いつもの様に備忘録的メモ
景観条例のさきがけ(猪苗代湖周辺のリゾートマンション問題)
目の前にある原発に、自治体はまったく手が届かない。
「安心は科学ではない、事業者と県民の信頼によって作られものだ」
役人(官僚)には顔がない。
内部告白を握りつぶし、告発者の氏名などを東電に渡した保安院。その後改竄問題で原発全基停止
原発と福島県は運命共同体、しかし情報公開をしない東電、政府
事務局である官僚に牛耳られている原子力安全委員会
「県と町村は、支配し支配される縦の関係でなく、共に住民のために仕事をする横の関係、つまりイコールパートナー」 官僚―県職員―市町村職員の上下関係など無意味で無用
道州制ありきの議論の危険性 地方分権を進める方法の選択肢としての道州制であるべき
建設業界や電力業界から非常に評判が悪かった知事

裁判等に関してはネットでご覧下さい。現在も民主党のゴタゴタの元になっている代議士先生も関連する建設会社等の名前がいくつが出てまいります。勘ぐれば、福島のこの事件から今があるのかもしれませんね。

知事抹殺 つくられた福島県汚職事件
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