森と鋼鉄のはざまで 小山紗都子 日本地域社会研究所 2011
献本
特に事前情報も無く読んでみた。
タイトルを見た時には都会と里山の繋がりの話かなと思っていた。
そんな想像からそれほど遠く外れてはいなかったが、今の世相を旨く描いているなと感じた。1960年生まれの著者の自叙伝的フィクションなのかもしれない。彼女のプロフィール等は出版社や他の書評に譲る事にして、小説の感想を書き留めておきたい。
東京の大学での生活、出会い、アルバイト、別れ、就職、予期せぬ妊娠、親の看護、そんな人生の中で生きていく一人の女性。結婚というテクストは出てこない。
便利、効率を追求し物質的豊かさの密度だけは高い東京、そこから自給自足的な生活と精神的豊かさを求めて共同体を構築しようとするグループ、女性活動家、学生結婚が破綻し子育てをするIT社長、和光市でのコンポストによるエコ活動をする人々。
都市化という身体性をある意味失った社会、それは頭の中で考えた事が具象化していく脳化社会でもある。そんな都会の中で食の安全や効率化に疑問を持つ人々が増えている。作者はおそらく自分自身の経験を基に都市に執着する自分と、逆に自身の田舎や農業が行われるであろう里山への憧れを吐露しているのでもあろう。
生きていくことはたやすくは無い、しかし、必ず出会いがあり、助け合える人々がいる。
孤立とか孤独という都市化の終末を見るよりは、隠し事など出来ない「ムラ社会」の方が心安らかに豊かな暮らしが出来るのかもしれない。
あとがきで3.11の原発震災に触れているが、ごもっともであると思う。都会のための原発がなぜ、地方に分散されているのかと。当たり前の意見が当たり前に表明出来る社会が素敵だと思う。

森と鋼鉄のはざまで (コミュニティ・ブックス)
クチコミを見る
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特に事前情報も無く読んでみた。
タイトルを見た時には都会と里山の繋がりの話かなと思っていた。
そんな想像からそれほど遠く外れてはいなかったが、今の世相を旨く描いているなと感じた。1960年生まれの著者の自叙伝的フィクションなのかもしれない。彼女のプロフィール等は出版社や他の書評に譲る事にして、小説の感想を書き留めておきたい。
東京の大学での生活、出会い、アルバイト、別れ、就職、予期せぬ妊娠、親の看護、そんな人生の中で生きていく一人の女性。結婚というテクストは出てこない。
便利、効率を追求し物質的豊かさの密度だけは高い東京、そこから自給自足的な生活と精神的豊かさを求めて共同体を構築しようとするグループ、女性活動家、学生結婚が破綻し子育てをするIT社長、和光市でのコンポストによるエコ活動をする人々。
都市化という身体性をある意味失った社会、それは頭の中で考えた事が具象化していく脳化社会でもある。そんな都会の中で食の安全や効率化に疑問を持つ人々が増えている。作者はおそらく自分自身の経験を基に都市に執着する自分と、逆に自身の田舎や農業が行われるであろう里山への憧れを吐露しているのでもあろう。
生きていくことはたやすくは無い、しかし、必ず出会いがあり、助け合える人々がいる。
孤立とか孤独という都市化の終末を見るよりは、隠し事など出来ない「ムラ社会」の方が心安らかに豊かな暮らしが出来るのかもしれない。
あとがきで3.11の原発震災に触れているが、ごもっともであると思う。都会のための原発がなぜ、地方に分散されているのかと。当たり前の意見が当たり前に表明出来る社会が素敵だと思う。

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