図書館本
知人の吉瀬さんに教えて頂いた本(素晴らしい本でした、ありがとうございます)

高木さん(1938-2000)は福島の原発震災を見なかった事は幸せだったのかもしれない。
しかし、反原発あるいは脱原発社会を目指して人生すべてをそれに賭けてきた高木さんは天国で無念の思いを抱いているのかもしれない。

本書は高木さんがまさにガン末期の中で作られた小説である。

何処か想定されそうな県のダム工事と森の生き物(鳥)達の話。

自然との共生というのは人間の奢り以外の何ものでない。生かされている自分を感じる者のみが自然から
迎い容れられるのであろう。
自然と人間との関係性を自らが壊し、制御可能なあるいは管理可能な自然という対象としてのみ共生しようとする利己的な人間が経済という文脈のみで自然を破壊している現状が相変わらず続いている。

自然をこよなく愛し、自然からも愛された高木さんの遺言の様な一冊だろう。

読みながら感じたのである、高木さんは松下竜一さん「暗闇の思想」や「砦に拠る」の下筌ダム反対闘争での 反骨の人、室原知幸の様な筋の通った人であり、心やさしいロマンチストでもあると。

通勤電車等では読まない方が良いかもしれません、目頭がだいぶ熱くなります。


(あとがきより)
仁さんはいつも「<しかたない>や<あきらめ>からは何もうまれてこない、あきらめずにやってみなきゃ。
人々の心のなかに希望の種をまき、いっしょに助け合いながら育てていこう」というのが口癖でした。
原始力時代の終焉を見とどけられなかったのは、心残りだったでしょうが、これからの社会をどのようにしたいのかは、これから生きていくひとりひとりが考えて実現していくことでしょう。………高木(中田)久仁子 

鳥たちの舞うとき
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原発事故はなぜくりかえすのか (岩波新書)
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