株式会社という病 平川克美 NTT出版 2007
図書館本

「反戦的ビジネスのすすめ」に続くビジネス原理論との事ですが、まだその本は読んでいません。
平川さんは、まえがきで書いているが、歴史学者の網野善彦と経済学者の岩井克人の影響が大きい事を吐露している。網野からは、歴史の転換点には、社会の深部で、目に見えない「価値観の地殻変動」が起こっていること。岩井からは、貨幣は欲望をみたすための交換手段であるが、同時に貨幣の存在が欲望を生産するといった歴史の逆説を教えられたと。
もう一人影響された人を上げるならば吉本隆明だと。別の著作「経済成長という病」でも網野善彦を紐解いて論をすすめている。

備忘録的に
「安定した格差」の過去から現在の格差問題へ。家制度、職人制度
経営者、職人、共同体のエートス(倫理)の変性
価値観の変革: 清貧、やせ我慢の美徳、金銭に対する汚辱の感覚、武士の情け、相互扶助等の美意識――他罰、利己へ
見えざる価値:落語「芝浜」を例に (この落語は良いですよ)
「国家の品格」の品格なき立ち位置(まったく同感) 心理的自己防衛機制に訴えた。
二項対立的な単純化された言葉遣い。
多くのひとたちがグローバル化や、市場化以外に選択肢はないのだという強迫観念に囚われているように思える。グローバル化も、市場化も、光り輝く未来を約束してくれているわけではないにもかかわらず。私たちは、もし永続的な精神の平安というものを求めるならば、どこかで、光り輝く未来というものを断念する必要があるかもしれない。p221
梅田望夫「ウエブ進化論」と先の国家の品格の違和感とは、どちらも自説を相対化する視線にかけているということであった。p229


株式会社という病 (NTT出版ライブラリーレゾナント)
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