現代霊性論 内田樹・釈徹宗 講談社 2010年2月
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2005年9月から半年間内田さんの大学(神戸女学院大学)で行われた内田・釈対談形式講義録を編集加筆。

内田(1950-)さんと釈(1961-)さんの話の中から見えてくる現代における宗教の役割や問題点、そして、その背景あるいは歴史から俯瞰する現状分析が面白い。
もちろん宗教の専門家でもないし、ほぼ無宗教な自分としては、あまりに知らない事が多い。唯一知っていた(情報としてだけ)のは、霊性という言葉が鈴木大拙氏により使われたということだろうか。

備忘録的にメモしておきたい。
「場の力」大学の寮生(自然豊かな内田さんの大学寮)の顔の輪郭がぼける話。身体感度があがり、生きていく力が上がる。P33
スピリチュアルブームの正体として「下流」、「ハレの常態化」「ネット右翼」5P(三浦展):パソコン、ペイジャー(携帯)、プレステ、ペットボトル、ポテトチップスといったキーワード。p93
ポスト新宗教(釈さん命名):真如苑、世界救世教、阿含宗、真光(系)、GLA,エホバの証人、統一教会、念法真教など。p95
鈴木大拙の霊性とは、「メタ宗教性」であり、宗教をつくるもの、宗教以前の宗教、それを霊性と名づけた。中略。我々に内在しているものです。 p120
武道でいう「胆力」とは「驚かされちゃいけない」という教え、その秘訣はいつも「驚いている」中略。「そういうことってあるよね」で済ませることができる。p136
1975年を境にして日本人は分かれはじめた。「あっち」に行った人々(1992年でバブルは終焉)p165
靖國問題のおける「生者の傲慢」(死者がどう弔って欲しいと言っているのかを私は知っているという態度)p187
昔から共同体の存続のためには、死んだ人間に対して、必ず鎮魂慰霊の儀礼を行った。そうしないと共同体が維持できない。p197
企業と神社:村の共同体の崩壊、その後会社がその役割を引き継ぐ(終身雇用や年功序列)、現在それが契約社会に移行しつつある。p214
「ハレ」「ケ」「ケガレ」と神道、仏教にはケガレの概念がないという親鸞。p237
「予言の自己成就」の怖さについて。オウム事件、北朝鮮問題等 p283
「敬語は身を守る術」by 内田樹 p291 コミュニケーションの基本




1章 霊ってなんだろう?
2章 名前は呪い?
3章 シャーマン、霊能者、カウンセラー 民間宗教者のお仕事
4章 スピリチュアルブームの正体
5章 日本の宗教性はメタ宗教にあり
6章 第3期・宗教ブーム 1975年起源説
7章 靖國問題で考える「政治と宗教」
8章 宗教の本質は儀礼にあり
9章 宗教とタブー
 質問の時間





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