釣りネタでもありますが。

森を荒らし、川をコンクリートでズタズタにすると、生態的に弱いものから消えていきます。そして、人間も。

以下記事
2010年10月25日(月)
富士川イワナ ルーツ継承か
北海道種と近い遺伝子型
狭まる生息域、保護が急務

 絶滅の恐れがある富士川水系のヤマトイワナと、北海道のイワナの遺伝子型が極めて似ていることが、埼玉県水産研究所などの研究で分かった。イワナは氷河期時代に北方から日本に入り、北海道のイワナは原種に近い遺伝子型を残しているとされる。富士川水系のヤマトイワナが、数万年という長期にわたり“ルーツ”を受け継いできた可能性があり、研究者は「学術的にも貴重」と指摘する。一方、富士川水系のヤマトイワナの生息域は急速に狭まり、今後三十数年で絶滅する可能性が高くなるという研究結果もある。遡上(そじょう)できるえん堤造りなどの保全策が急務になっている。
 研究は、同研究所と東北大大学院、福山大が共同で実施。国中地域を流れる富士川水系や伊茶仁川、茶路川(いずれも北海道)、利根川(栃木県)、荒川(埼玉県)など8河川の上流域で採取したイワナのひれの遺伝子型を比べた。
 遺伝子配列などを分析した結果、富士川水系と伊茶仁川のイワナは、分析した約500のうち、異なるのは二つしかなかった。同研究所は「ここまで配列が近似しているのは異例。地理的に近い利根川や荒川とはあまり似ていなかった」としている。
 イワナはサケ科の魚で海水で移動できるため、北海道から海を渡って南下し、生息域を広げたことが考えられる。ただ「詳細な理由は現時点で分からない」(同研究所)という。
 研究結果をまとめた論文は今年8月、学術誌「アクアカルチャー」で発表された。論文をまとめた同研究所の山口光太郎研究員は、富士川水系と北海道のイワナの遺伝子型が近似していることについて「イワナの起源をたどるためには、富士川水系のヤマトイワナを保全する価値は極めて高い」と強調する。
 一方、富士川水系のヤマトイワナは近年、急速に減少しており、県レッドデータブックで「絶滅の恐れのある地域個体群」に指定されている。上流域にえん堤が造られ、遡上できなくなっていることに加え、釣り客向けに放流された養殖のニッコウイワナとの交配が進んだことが要因とみられている。
 山梨県水産技術センターの調査では、ヤマトイワナが生息している流域は従来の生息域の1%まで縮小しているという。同センターの坪井潤一研究員は、富士川水系のヤマトイワナの今後100年間の絶滅確率を試算し、2042年には5・3%と、国際自然保護連合(IUCN)が定める「安全圏」(5%以内)を超えるという分析結果が出た。
 坪井研究員は「イワナが遡上できるえん堤の整備や釣った魚を放すキャッチアンドリリースを義務化するなどの対策を取らなければ、近い将来、確実に絶滅してしまう」と警鐘を鳴らしている。