リンゴが教えてくれたこと 木村秋則 日経プレミア 2009

2007年のNHK番組で一躍有名になった木村さんであるが、1992年に日経がすでに夢のリンゴとして紹介しているのだそうだ。そんな関係で日経プレミアシリーズの本になったのだろう。はっきり言って「奇跡のリンゴ」(幻冬舎)より格段に面白いというか、迫力がある。それはやはりご自分の言葉として書かれているからだろう。
自然農法でなくて自然栽培と言うくだりは、なるほど思う。ただ故福岡翁の自然に対する真摯な態度は木村さんも同じだと思う。

そして何より凄いと思うのは、観察力。雑草、大豆、土の温度、昆虫やカビ、動物、それらすべてと会話が出来る人である。もちろんリンゴやイネと以心伝心。
アカデミックは農薬や肥料に関しては研究を積極的に行うが、自然そのものの潜在能力に関しては非常にモチベーションが低い。
リンゴから稲、そして畑作と日本そして世界にその技術は広まっていく。農薬も肥料も必要としない農業は決して楽なものではないからこそ、自然と向き合う必要があるのだろう。
本書を読んで、何人かの方の名前が湧きあがってきた。それは松下竜一、四手井綱英さんだ。もちろん自然農の福岡正信氏も。


リンゴが教えてくれたこと (日経プレミアシリーズ 46)
リンゴが教えてくれたこと (日経プレミアシリーズ 46)
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