山中静夫氏の尊厳死 南木佳士 文藝春秋 1993
タイトルの作品と「試みの堕落論」よりなる。
読んでいてすぐに分かったのは、南木佳士さんご自身を書いているのだと。多くの死を看取り、その結果として自身がパニック症候群かうつ病になられた歴史である。そして、人の死が多様であり、個人や家族にとっての死がいかに多元でもあることを一人の末期がん患者の方の生き方を通して書き綴っている。安楽死と尊厳死の根本的な違い、文脈の違い、医師と患者との関係性の中での「死」。南木佳士が根付いた信州佐久の自然の中でこそ書き得た限りなくノンフィクションの近い文章であろう。決して都会の病院では成立し得ない「魂あるいは心」の最終到着点である森や渓がそこにあったのだろう。
「試みの堕落論」は南木さんの国際医療協力でカンボジアに滞在した時の事を元にした文章。
山中静夫氏の尊厳死
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山中静夫氏の尊厳死 (文春文庫)
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タイトルの作品と「試みの堕落論」よりなる。
読んでいてすぐに分かったのは、南木佳士さんご自身を書いているのだと。多くの死を看取り、その結果として自身がパニック症候群かうつ病になられた歴史である。そして、人の死が多様であり、個人や家族にとっての死がいかに多元でもあることを一人の末期がん患者の方の生き方を通して書き綴っている。安楽死と尊厳死の根本的な違い、文脈の違い、医師と患者との関係性の中での「死」。南木佳士が根付いた信州佐久の自然の中でこそ書き得た限りなくノンフィクションの近い文章であろう。決して都会の病院では成立し得ない「魂あるいは心」の最終到着点である森や渓がそこにあったのだろう。
「試みの堕落論」は南木さんの国際医療協力でカンボジアに滞在した時の事を元にした文章。
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