『羅生門』 DVD、1950年8月26日に公開された日本の映画。

60年前の作品がこれほど普遍性をもって心あるいは精神に訴えるものなのかと感動した。いつの世も利己的な者がいる、そしてそれが当たり前の世界なのかもしれない。他者との関係性の中でのみ生きられる人間の姿がその他者との係わりの中で描かれている。
特に印象深い場面は、森の中での武士の姿と林冠を通して差し込む光と影。あたかもそれが人の心を映し出しているのではないかと感じた。
全ての役者が完璧な演技を黒沢監督の指揮で演じているのだろう、いや黒沢監督によってそれぞれの人間の業を乗り移らされているのかもしれない。

Wikiより
黒澤明が監督したモノクロ映画の代表的作品。原作は芥川龍之介の短編小説『藪の中』だが、同作者の短編小説『羅生門』からも題材を借りている。

平安時代。荒れ果てた都の羅生門で、杣売りと旅法師が放心状態で座り込んでいた。そこへ雨宿りのために下人がやって来る。下人は退屈しのぎに、2人がかかわりを持つことになったある事件の顛末を聞く。
ある日、杣売りが山に薪を取りに行っていると、武士・金沢武弘の死体を発見し、検非違使に届け出た。次に旅法師が検非違使に呼び出され、殺害された武士が妻・真砂と一緒に旅をしているところを見たと証言した。
やがて、武士殺害の下手人として、盗賊の多襄丸が連行されてくる。多襄丸は女を奪うため、武士を木に縛りつけ、女を手篭めにしたが、女が「生き残った方のものとなる」と言ったため、武士と一対一の決闘をし勝利した。しかし、女は逃げてしまったと証言した。
しばらくして、生き残っていた武士の妻が検非違使に連れて来られた。妻は多襄丸に手篭めにされた後、多襄丸は逃亡し、妻は夫に自分を殺すよう訴える が意識を失い、意識を取り戻したら、夫には短刀が刺さって死んでいた。自分は後を追って死のうとしたが死ねなかったと証言した。
そして、夫の証言を得るため、巫女が呼ばれる。巫女を通じて夫の霊は、妻は多襄丸に手篭めにされた後、多襄丸に情を移したが、多襄丸は妻を生かすか殺すか夫が決めていいと言ってきた。しかし、それを聞いた妻は逃亡した。多襄丸も姿を消し、一人残された自分は無念のあまり、妻の短刀で自害したと証言した。
しかし、杣売りは下人に「3人とも嘘をついている」と言う。杣売りは実は事件を目撃していたのだ。そして、杣売りが下人に語る事件の当事者たちの姿はあまりにも無様で、あさはかなものであった。



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