ルポ 資源大陸アフリカ 白戸圭一 東洋経済新報社 2009

毎日新聞特派員としてヨハネスブルグを拠点にアフリカ大陸をまさに縦横無尽に身の危険を顧みずに取材した白戸氏(1970−)の記録。取材は2004−2008に行われている。
南アフリカ、モザンビーク、ナイジェリア、コンゴ民主共和国、スーダン、ソマリアと言った国々が登場する。資源大陸と呼ばれ多くのレアメタルや金、ダイヤモンド、鉱物を産出するアフリカの国々。そこにはそれら資源を買う側の姿も見え隠れしている。決して日本はそれに関与していないとは言えないのである。暴力や犯罪を生み出す背景は決して単純な構造ではないであろうことは本書でも明らかである。国際社会とは何か、グローバリズムとは何を求めることなのか?援助という名の汚職支援は無かったのだろうか。
一つの答えとして終章で白戸氏は書く、
「地球規模の格差社会の底辺に置かれたアフリカかから染み出す犯罪などの負の側面は家具後の上で、競争礼賛で弱肉強食の道を突き進むのか。一方、先進国側も暴力の拡散に耐えきれず、資本主義の暴走に一定の歯止めをかけ、命の価値を平準化する努力に取り組むのか。私たちは今、命の価値を巡る一つの岐路に立たされているのではないだろうか。」
アフリカにほとんど係わりの無い方が本書を読まれると、アフリカというところは危険で腐敗し、訪問するような所ではないと思われてしまうかもしれない。
しかし多くのアフリカ諸国には、目をキラキラさせて明日の未来を夢見て勉強したり、サッカーに汗を流す多くの子供達が生きている。そしてそれぞれの国の文化や歴史がある。また大家族制の共同体を形成して助け合って生きて行く社会もあるのだ。植民地時代に列強国が勝手に引いた国境線に区切られた大陸を国際社会がどう対応していくのか一人一人が考えねばいけないのではないかと思ったのである。


ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄
ルポ資源大陸アフリカ―暴力が結ぶ貧困と繁栄
クチコミを見る