黒い部屋の夫(上下巻) 市原恵理 インフォレスト 2009

献本

どんな感想を書こうかと考え込んでしまう本。
同棲、結婚、夫のうつ病、出産、離婚、元夫の自殺。こんな文脈を記憶の中から記録している。初出はブログでの記載から始まって、有名ブログになったとの事。
香山リカ氏が後書きの様な所で、ニュータイプのうつ病(新型うつ病)であり、仕事以外では元気なうつ病であると指摘する。さらに精神科の臨床現場でもこのうつ病の扱いをめぐって大きな議論が起きていると書いている。
筆者の立場の味方をするなら、運が悪かったね。新しい人生を歩んでくださいと心から祈る。また逆に、もっと早く違った道をお互いが取れなかったのとも思う。
10人人間がいれば10個の人生がある。出逢いがあり別れもあるだろう。多元で多様なそれぞれの人生の中の一つの物語として読むのが正しいのであろう、決して特殊なストーリーではないのだと。
ただ、ふと思ったのは筆者も元夫もネット社会の中に生きていたのだと感じる。もちろん元夫はSEであるし、それが元でうつになった様でもある。インターネットがあれば簡単に多くの人々と交流が出来るし商品の売買もPCの前で収束することができる。より多くの人との接触があるようで実は非常に薄く弱い繋がりの様に思える。そこには自然など存在せず、脳の中で考えた事だけの世界が広がっている、養老孟司さんはこれを脳化社会とか都市化社会と呼んでいる。
結局、男と女でも人と人でも相性なのであろう。そんなことを思った本である。


黒い部屋の夫 上下巻
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